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スキルアップカレッジ

フォワーダー・海運・鉄道貨物・航空貨物——国際物流と長距離モード

レッスン4:フォワーダー・海運・鉄道貨物・航空貨物——国際物流と長距離モード

このレッスンで学ぶこと

  • 利用運送事業(第一種/第二種)とフォワーダー・NVOCC の役割分担を理解する
  • 海運(外航/内航/不定期船/コンテナ)とコンテナ 3 大同盟の構造を扱う
  • B/L /SWB /FCL /LCL /CY /CFS の国際海上物流の基本用語を読み解ける
  • 港湾運送業法・JR 貨物・航空貨物とモーダルシフトの動きを俯瞰する

前のレッスンでは、貨物自動車運送事業法改善基準告示標準的な運賃を扱いました。このレッスンでは、トラック以外の輸送モード——フォワーダー、海運、鉄道貨物、航空貨物——を見ていきます。国際物流の中核であるコンテナ物流の用語と、モーダルシフトの背景まで俯瞰します。

利用運送事業とフォワーダー——「運ばずに運ぶ」ビジネス

利用運送事業は、貨物利用運送事業法(1990 年、物流二法の一方)に基づく事業で、別の運送事業者を利用して貨物を運ぶ事業を指します。自社で車両・船舶・航空機を持たず、実運送人(実際に運ぶ会社)から輸送スペースを買い付けて、荷主に転売するマージンモデルです。

利用運送事業には 2 種類あります。

第一種利用運送事業は、単一の輸送モード(トラックのみ、または海運のみ、または航空のみ)を利用する事業です。国土交通大臣への登録が必要です。荷主と実運送人の間で貨物運送を仲介するシンプルな形態です。

第二種利用運送事業は、複数の輸送モードを組み合わせ、集荷・配達を含めた「戸口から戸口」(Door to Door)の一貫輸送を行う事業です。国土交通大臣の許可が必要で、参入障壁が高い区分です。国際フォワーダーの多くは第二種を取得しています。

フォワーダー(Freight Forwarder)は、この利用運送事業を担う事業者の総称で、荷主の代理として複数の実運送人(船会社・航空会社・トラック運送会社・鉄道貨物)を組み合わせて最適な輸送を設計します。日系大手は近鉄エクスプレス、日本通運(NIPPON EXPRESS ホールディングス)、郵船ロジスティクス、山九、住友倉庫。外資系大手は DHL Global Forwarding、DB Schenker、Kuehne+Nagel、DSV、Expeditors などです。

💡 ポイント フォワーダーは「船を持たない船会社」「航空機を持たない航空会社」とも呼ばれます。物理的な運送手段を持たないのに輸送責任を負うビジネスモデルは、荷主にとっては「一社で完結する窓口」の便利さがあり、実運送人にとっては「安定した荷主の代理」として大量発注が期待できる関係にあります。

NVOCC——海運版のフォワーダー

NVOCC は Non-Vessel Operating Common Carrier の略で、「船舶を運航しない一般運送人」を指します。海運業界でのフォワーダーの通称と考えて構いません。米国 1984 年海運法で法的定義が明確化され、日本でも第二種利用運送事業(海運)を取得した事業者が NVOCC として活動します。

NVOCC は船会社から複数のコンテナスペースを大口契約で買い付け、複数の荷主に小口で転売します。この「バルク仕入・小口販売」のマージンが NVOCC の粗利源です。特に LCL(Less than Container Load、小口混載)と呼ばれる、1 コンテナに満たない小口貨物を集めて 1 コンテナに詰め合わせる(Consolidation)ビジネスは NVOCC の得意領域です。

NVOCC が発行する船荷証券を Master B/L(船会社発行)と区別して House B/L と呼びます。荷主は House B/L を受け取り、NVOCC が船会社から Master B/L を受け取る階層構造です。

海運——外航・内航・不定期船・コンテナ

海運業は、外航海運(国際海運)と内航海運(国内海運)に大きく区分され、貨物形態別に定期船(コンテナ船)と不定期船(バルクキャリア、タンカー)に分類されます。

外航海運は、日本と海外を結ぶ国際海運で、貿易貨物の約 99 % を担います。日本郵船、商船三井、川崎汽船の「海運大手 3 社」が業界を代表し、コンテナ船事業は 3 社が 2018 年 4 月に統合して発足した Ocean Network Express(ONE、シンガポール本社)が担っています。統合前は 3 社ばらばらに市況変動に翻弄されていたコンテナ事業を、統合により規模と効率で戦える体制にした業界再編でした。

内航海運は、日本国内の港と港を結ぶ海運で、鉄鋼・石油・セメント・化学品などの大量輸送を担います。国内貨物輸送量のトンキロベースで約 44 %(令和 5 年度、内航船舶輸送統計年報)を占め、トラックに次ぐ主力です。事業者数は約 3,300 社(令和 5 年度末、日本内航海運組合総連合会)と中小事業者中心の構造です。

定期船(Liner)は、決まった航路とスケジュールで運航する船で、コンテナ船が中心です。世界の海上輸送の約 3 割を担い、輸出入の主力です。

不定期船(Tramper)は、スポット契約で運航する船で、鉄鉱石・穀物・石炭を運ぶドライバルクキャリア、原油・石油製品を運ぶタンカー、LNG(液化天然ガス)を運ぶ LNG 船などがあります。

📝 補足 コンテナ船の運賃指数として、SCFI(Shanghai Containerized Freight Index、上海発着コンテナ運賃指数)と CCFI(China Containerized Freight Index、中国輸出コンテナ運賃指数)が世界的に参照されます。2020 〜 2022 年のコロナ禍で SCFI は約 5 倍に高騰し、その後 2023 年に急落するなど、市況変動を映し出す指標です。

コンテナ 3 大同盟——世界のコンテナ物流を支配する 3 陣営

外航コンテナ船業界は、船社が「アライアンス」(同盟)と呼ばれる連合を組み、船舶スペースを共有することで航路網を効率化しています。2024 年時点で世界の主要 3 大同盟は以下の通りです。

第 1 の 2M は、Maersk(デンマーク、世界最大)と MSC(スイス、世界第 2 位)の 2 社連合でした。ただし 2 社は 2025 年 1 月に解消することが 2023 年に発表され、以降は個別戦略に移行しました。Maersk は独 Hapag-Lloyd と新同盟「Gemini Cooperation」を 2025 年 2 月に結成しています。

第 2 の Ocean Alliance は、CMA CGM(フランス)、COSCO(中国)、Evergreen(台湾)、OOCL(香港、COSCO 子会社)の 4 社連合で、太平洋・大西洋・アジア欧州航路をカバーします。2027 年までの継続契約が結ばれています。

第 3 の THE Alliance は、Hapag-Lloyd(ドイツ)、Yang Ming(台湾)、HMM(韓国)、ONE(日本、日本郵船・商船三井・川崎汽船統合会社)の 4 社連合でしたが、Hapag-Lloyd の Gemini 移行に伴い、Yang Ming・HMM・ONE の 3 社は 2025 年 2 月に新同盟「Premier Alliance」を発足しました。

このように、コンテナ 3 大同盟は 2025 年に大きな再編を経ています。業界を読み解く際は、必ず最新の同盟構成を確認する必要があります。

B/L /SWB /FCL /LCL /CY /CFS——国際物流の基本用語

国際海上物流には、業界特有の用語が並びます。頻出用語を整理します。

B/L(Bill of Lading、船荷証券)は、船会社が荷主に発行する運送引受証で、貨物の受取証、運送契約書、有価証券の 3 つの性格を持ちます。B/L がなければ荷物を受け取れない「有価証券」性が特徴で、B/L のオリジナル(3 通発行される)が金融取引にも使われます。

SWB(Sea Waybill、海上運送状)は、B/L の簡易版で、有価証券性を持ちません。B/L と違ってオリジナルを送付する必要がなく、電子データでやり取りできるため、近年は SWB の利用が拡大しています。日系企業間・グループ会社間の輸送では SWB が主流です。

FCL(Full Container Load、コンテナ 1 本貸切)は、1 荷主で 1 コンテナ以上の荷物を輸送する形態です。荷主が自社倉庫でコンテナに積み込む Shipper Load 方式が一般的で、輸送単価は LCL より安くなります。

LCL(Less than Container Load、混載)は、1 コンテナに満たない小口貨物を、複数荷主で 1 コンテナに詰め合わせる形態です。フォワーダー・NVOCC が Consolidation(貨物のとりまとめ)を行い、CFS(コンテナ・フレイト・ステーション)で仕分けます。輸送単価は FCL より高いですが、小口では現実的な唯一の選択肢です。

CY(Container Yard、コンテナヤード)は、FCL 貨物を扱うコンテナの受渡場です。港湾内にあり、船積み前と荷揚げ後のコンテナが並びます。

CFS(Container Freight Station、コンテナフレイトステーション)は、LCL 貨物を扱う施設です。複数荷主の小口貨物を CFS に集め、仕分けして 1 コンテナに詰め込みます。逆に、荷揚げ後は CFS で仕分けて各荷主に配送します。

🔰 初学者の方へ B/L と SWB の違いは、有価証券性の有無です。B/L は「原本」の紙が金融取引にも使われる有価証券ですが、SWB は電子データで済ませられる簡易版です。国際貿易ではまだ B/L が主流ですが、電子 B/L(e-B/L)の標準化が進んでおり、2030 年代には SWB や電子 B/L への完全移行が予想されています。

港湾運送事業法——港のオペレーションの担い手

港湾運送事業法(1951 年制定)は、港湾内で貨物の船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、上屋(うわや:港湾倉庫)保管などを行う事業を規律する法律です。第 1 種から第 7 種まで 7 種類の事業区分があります。

第 1 種は一般港湾運送事業で、船内荷役から沿岸荷役までを一貫して行う元請的な事業です。第 2 種は船内荷役事業(ステベドア:Stevedoring、船内で貨物を積み下ろしする作業)です。第 3 種は沿岸荷役事業、第 4 種ははしけ運送事業(今はほぼ消滅)、第 5 種は港湾倉庫内荷捌事業、第 6 種は検数事業、第 7 種は鑑定事業です。

港湾運送事業は、指定港(東京・横浜・名古屋・大阪・神戸など全国 92 港)でのみ許可制で、それ以外の港では届出制です。事業者は約 900 社(令和 5 年度、国土交通省)と限られており、規制が強い領域です。

JR 貨物——日本唯一の全国鉄道貨物

JR 貨物(日本貨物鉄道株式会社)は、1987 年の国鉄分割民営化により発足した、日本唯一の全国鉄道貨物事業者です。旅客の JR 7 社と異なり、貨物は全国 1 社体制で運営されています。

JR 貨物の主力はコンテナ輸送で、12 フィートコンテナ(5 トン積、国内標準)と 20 フィート・31 フィートコンテナを組み合わせて運用しています。年間輸送量は約 3,200 万トン(令和 4 年度、鉄道輸送統計年報)で、国内貨物輸送量のトンキロベースで約 5 % を占めます。

JR 貨物の環境優位性は、CO2 排出量が営業用トラックの約 11 分の 1 という圧倒的な低さです。この特性を活かし、モーダルシフト(トラックから鉄道への転換)の受け皿として注目されています。特に、東京 — 大阪 — 福岡の東海道・山陽本線ルートは、24 時間で 1,000km を運ぶことが可能で、長距離幹線輸送の代替として期待されています。

一方で、鉄道貨物の課題は「駅から駅」の輸送しかできない点です。発地の倉庫から発駅までの集荷、着駅から着荷主までの配達は、必ずトラックが担う必要があり、「トラック → 鉄道 → トラック」の 3 段階輸送になります。これがコスト・時間・手続きの複雑さにつながっており、モーダルシフトの障壁となっています。

航空貨物と混載——IATA と ULD

航空貨物業は、旅客機の貨物室(Belly Space、ベリースペース)を活用する形態と、貨物専用機(Freighter)を運航する形態に区分されます。旅客航空会社(ANA Cargo、JAL Cargo)は主に前者、日本貨物航空(NCA、日本郵船子会社)は後者を運営します。

IATA(International Air Transport Association、国際航空運送協会、1945 年設立、本部モントリオール)は、世界の航空会社約 300 社が加盟する業界団体で、航空貨物の運賃・書式・手続きの標準化を担います。航空貨物の運賃計算は IATA レートを基準に行われ、AWB(Air Waybill、航空運送状)が輸送書類として使われます。

ULD(Unit Load Device)は、航空機に搭載するための貨物専用容器の総称です。パレット型(Pallet ULD)とコンテナ型(Container ULD)があり、機材ごとに搭載可能な形状が規定されています。ボーイング 747F・777F といった貨物専用機は、大型 ULD を効率的に搭載できる構造になっています。

航空貨物の主力貨物は電子部品・医薬品・生鮮品(マグロ、フルーツ、切り花など)・自動車部品などで、単価が高く緊急性が求められる品目です。空運は輸送量全体の 0.2 % 未満ながら、貨物金額ベースでは約 30 % を占めるとされます(財務省 貿易統計と経済産業省 資料を組み合わせた推計)。

モーダルシフト——鉄道と船へ

モーダルシフトは、トラック輸送を鉄道・海運に切り替える取り組みで、CO2 削減・ドライバー不足対応の両面から推進されています。国土交通省は「モーダルシフト等推進事業」で補助金を出し、10 % 程度の運送費補助や設備投資補助を行っています。

具体例としては、東京 — 大阪 — 福岡の長距離幹線を JR 貨物のコンテナに切り替える、東京湾 — 大阪湾を内航 RO/RO 船(Roll-on/Roll-off、自走式荷役船)に切り替える、といった事例が代表的です。RO/RO 船は、トラックがそのまま船に乗り込める船舶で、フェリーの貨物特化版と考えて構いません。近海郵船・栗林商船・商船三井フェリーなどが主要事業者です。

一方、モーダルシフトの実現には障壁もあります。鉄道は駅から駅の輸送しかできず、集荷・配達のトラックが必要です。船は寄港地間の輸送のみで、荷役に時間がかかります。これらの制約から、トラック単独輸送に比べて 2 〜 4 日程度の追加時間が必要で、時間感度の高い貨物には向きません。

物流 2024 年問題の影響で、モーダルシフトへの荷主関心は高まっていますが、実現率は依然として低い水準にあります。今後の 5 〜 10 年で本格化が期待される領域です。

まとめ

このレッスンでは、以下のことを学びました。

  • 利用運送事業(第一種・第二種)は「運ばずに運ぶ」マージンモデルで、フォワーダーが担う
  • NVOCC は海運版のフォワーダーで、House B/L を発行する
  • 海運は外航/内航/定期船(コンテナ)/不定期船に分類され、コンテナ 3 大同盟は 2025 年に再編中
  • 国際物流の基本用語は B/L /SWB /FCL /LCL /CY /CFS
  • 港湾運送事業法は 7 事業区分で、指定港 92 港のみ許可制
  • JR 貨物は日本唯一の全国鉄道貨物で、CO2 排出はトラックの 11 分の 1
  • 航空貨物は輸送量 0.2 % 未満だが貨物金額では約 30 %、IATA と ULD が標準
  • モーダルシフトはトラックから鉄道・海運への転換で、2024 年問題で関心が高まっている

次のレッスンでは、物流業のもう 1 つの中核機能——保管——を担う倉庫業を扱います。倉庫業法、危険物取扱い、コールドチェーン3 温度帯、パレット T11 規格、物流不動産(プロロジス・GLP・ESR)、マテハン機器(AGV /AMR /自動倉庫)までを俯瞰していきます。


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