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スキルアップカレッジ

農地の 4 用途・農業経営体・6 次産業化・GAP /有機 JAS

レッスン4:農地の 4 用途農業経営体6 次産業化GAP有機 JAS

このレッスンで学ぶこと

  • 農地の 4 用途(田・畑・樹園地・牧草地)と主要作物を理解する
  • 農業経営体約 90 万経営体(家族経営・法人経営・集落営農)の構造を掴む
  • 6 次産業化(1 次×2 次×3 次=6 次)と 6 次産業化法 2010 年を扱う
  • 農業 GAP /有機 JAS /みどりの食料システム戦略 2021 年を把握する

前回のレッスンでは、農業 3 法体系(農地法農業経営基盤強化促進法農協法)と JA グループを扱いました。今回は、農地の 4 用途、農業経営体、6 次産業化、農業 GAP /有機 JAS 、みどりの食料システム戦略を扱います。

農地の 4 用途と主要作物

日本の農地は、農地法上「田・畑・樹園地・牧草地」の 4 用途に区分されます。2024 年時点の農地面積は約 432 万 ha(1961 年ピーク 609 万 ha から約 29 % 減少)で、以下の内訳です:

  • 田(水稲・水田転作作物):236 万 ha(55 %)
  • 畑(野菜・畑作物・工芸作物):113 万 ha(26 %)
  • 樹園地(果樹・茶・桑):25 万 ha(6 %)
  • 牧草地(乳牛・肉牛の飼料):58 万 ha(13 %)

主要作物と産出額

農業産出額約 9 兆円(2023 年)の主要品目別内訳は以下です:

  • 畜産:3.5 兆円(乳用牛 8,000 億円・肉用牛 8,000 億円・豚 7,000 億円・鶏 1.1 兆円・鶏卵 5,000 億円)
  • 野菜:2.3 兆円(トマト 2,200 億円・きゅうり 1,000 億円・玉ねぎ 1,000 億円・ほうれん草・キャベツ・レタスなど)
  • 米:1.6 兆円(コシヒカリ・あきたこまち・ゆめぴりか・ひとめぼれなど)
  • 果実:1.0 兆円(りんご・みかん・ぶどう・なし・もも・かき・いちご)
  • 花き:3,000 億円
  • 麦・雑穀・豆類:1,500 億円

日本の農業は「野菜・果実・畜産」で高付加価値化しつつ、「米」の比率は 1990 年 32 %→2023 年 18 % と長期低下しています。

農地の減少と遊休農地

農地面積は 1961 年ピーク 609 万 ha から 2024 年 432 万 ha と、63 年間で 29 % 減少しました。遊休農地(1 年以上耕作されていない農地)は約 24 万 ha(2020 年時点)で、対策として農地バンクへの集約、農地の畑地化、太陽光発電への転用、林地化などが進んでいます。

農業経営体の構造

日本の農業経営体は 2024 年時点で約 90 万経営体(2005 年 200 万→2015 年 137 万→2020 年 108 万と減少傾向)で、以下の分類です:

  • 家族経営(個人経営):約 85 万経営体(94 %)、平均年齢 68 歳超
  • 法人経営(会社法人・農事組合法人・農地所有適格法人など):約 3.4 万法人(2015 年 2.7 万→2020 年 3.1 万→2024 年 3.4 万と増加傾向)
  • 集落営農:約 1.4 万組織(うち法人化約 40 %)

家族経営の実態

家族経営の農業所得は年間 200-500 万円が中心帯(農業経営統計調査 2023 年)で、副業農家(第 2 種兼業農家)が全体の 6 割を占めます。専業農家は約 45 万世帯で、うち販売農家(年間農産物販売額 50 万円以上)は約 100 万世帯です。

家族経営の課題は、後継者不足(60 % の農家に後継者なし)、平均年齢の上昇(68 歳超)、規模の零細性(平均経営耕地面積 3 ha 前後、北海道除く)です。

農業法人の増加

農業法人は 2015 年 2.7 万→2020 年 3.1 万→2024 年 3.4 万法人と増加傾向にあります。法人化のメリット:

  • 規模拡大による効率化
  • 農地バンクからの農地借り受け優先
  • 農地所有適格法人による農地取得
  • 従業員雇用と社会保険加入
  • 事業承継の柔軟性

主要な農業法人:

  • カゴメ(1899 年設立、上場、農業関連事業)
  • 井関農機/ヤンマー農業関連事業
  • 舞台ファーム(宮城県、水稲・野菜、年商約 30 億円)
  • 木徳神糧(1882 年設立、米穀販売)
  • 秋川牧園(山口県、鶏卵・肉、上場)

集落営農の展開

集落営農は、集落単位で農地を一体運営する組織形態で、農作業の共同化、機械の共同購入、集落内相互扶助を担います。2024 年時点で約 1.4 万組織で、うち法人化約 40 %。特に中山間地域・水田地帯で普及しています。

6 次産業化

6 次産業化は、東京大学名誉教授 今村奈良臣氏が 1990 年代に提唱した概念で、「1 次産業(生産)× 2 次産業(加工)× 3 次産業(販売・サービス)= 6 次産業」の掛け算で表現されます。農林漁業者が生産だけでなく加工・販売・観光サービスまで一体運営することで、付加価値を農林漁業者側に取り込む戦略です。

6 次産業化・地産地消法 2010 年

6 次産業化を推進する法的枠組みとして「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(略称:6 次産業化・地産地消法)が 2010 年 12 月に成立、2011 年 3 月施行されました。

主な支援内容:

  • 6 次産業化・地産地消法認定事業計画への認定(累計 2,700 件超)
  • 農林漁業成長産業化ファンド(A-FIVE、2013 年設立、2020 年新規投資終了)
  • 6 次産業化サポートセンター(各都道府県設置)

代表的な 6 次産業化事例:

  • 舞台ファーム(宮城県、米・野菜生産+レストラン+直売所)
  • モクモク手づくりファーム(三重県、養豚+ハム・ソーセージ製造+レストラン+テーマパーク、年商約 50 億円)
  • 農業法人こと京都(京都府、九条ねぎ生産+加工+通販)
  • 有限会社シニアライフサポート(大分県、農業+介護+宅配)
  • ドール(グループ会社の農園リゾート、山梨県)

6 次産業化の市場規模は約 2 兆円(農林水産省 6 次産業化総合調査 2023 年度)で、成長市場ですが、農家個人の 6 次産業化は多くが小規模で、大規模化・法人化・専門経営との連携が課題です。

農業 GAP

GAP(Good Agricultural Practice、農業生産工程管理)は、農業生産における食品安全・環境保全・労働安全・持続可能性を確保する管理手法・認証制度です。3 つの主要 GAP が国内で運用されています:

  • JGAP(Japan Good Agricultural Practice):一般財団法人日本 GAP 協会運営、日本国内向け認証。2024 年時点で認証農場約 6,000 件。
  • ASIAGAP:JGAP の国際版、GFSI(Global Food Safety Initiative)承認済み。
  • GLOBAL G.A.P.:欧州発祥、世界標準の GAP、国際的取引で要求される。日本国内認証は約 200 件。

GAP 認証は、大手小売(イオン・イトーヨーカ堂)や大手食品メーカー(食品加工業)との取引条件になりつつあり、輸出時にも要求されることが多いです。GAP 認証取得は農業法人・大規模農家を中心に広がっており、家族経営の小規模農家では取得が難しい面もあります。

東京 2020 オリンピックと GAP

東京 2020 オリンピック・パラリンピック(2021 年開催)の選手村食材調達で、GAP 認証が要求されたことをきっかけに、GAP 認証取得への関心が高まりました。パリ 2024、ロサンゼルス 2028 のオリンピックでも同様の要求が続いており、GAP は国際的な標準として定着しつつあります。

有機 JAS

有機 JAS 認証は、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS 法、1950 年制定)に基づく有機農産物・有機加工食品の認証制度で、1999 年の JAS 法改正で創設されました。

有機 JAS の要件:

  • 化学合成農薬・化学肥料を原則不使用(3 年以上)
  • 遺伝子組換え技術を不使用
  • 動物福祉に配慮
  • 認定機関による年 1 回以上の実地検査

有機 JAS 認証を取得した農産物のみが「有機」「オーガニック」の表示が可能で、EU オーガニック認証、USDA オーガニック認証と相互承認されています。

2024 年時点で有機 JAS 認証農場は約 5,000 件、有機農地面積は約 3.5 万 ha(総農地の約 0.8 %)と、欧州(EU 平均 10.4 %)や米国(1 %)と比べて低水準です。

みどりの食料システム戦略 2021 年

みどりの食料システム戦略は、農林水産省が 2021 年 5 月に策定した、食料・農林水産業の生産性向上と持続性の両立を目指す長期戦略です。2050 年までの主要目標:

  • 農林水産業の CO₂ ゼロエミッション化
  • 化学農薬使用量(リスク換算)50 % 削減
  • 化学肥料使用量 30 % 削減
  • 有機農業取組面積 100 万 ha(総農地の 25 %)
  • 食品ロス半減(2000 年度比、事業系)

これらの目標は EU の Farm to Fork 戦略(2020 年 5 月公表、有機農地 25 %)とほぼ同水準で、日本の農業を大きく変える方向性を示しています。ただし現状(有機農地 0.8 %)から 2050 年までに 25 % に拡大するのは極めて挑戦的な目標で、実現可能性への疑問も業界内で議論されています。

みどりの食料システム法 2022 年

みどりの食料システム戦略を法制化した「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律」(略称:みどりの食料システム法)が 2022 年 5 月に成立、2022 年 7 月施行されました。認定事業者への金融・税制・技術支援が用意されています。

⚠️ 注意 みどりの食料システム戦略の 2050 年目標(有機農地 25 %)は EU 目標と同水準ですが、日本と EU では農業の基盤(気候・土壌・農地規模・農家所得)が大きく異なります。EU の主要国では有機農地比率が既に 10-20 % に達している国もある一方、日本は 0.8 % からのスタートで、達成へのハードルは高いのが実情です。

まとめ

このレッスンでは、以下のことを学びました。

  • 農地は 4 用途に区分:田 236 万 ha(55 %)・畑 113 万 ha(26 %)・樹園地 25 万 ha(6 %)・牧草地 58 万 ha(13 %)、合計 432 万 ha(1961 年ピーク 609 万 ha から 29 % 減)
  • 農業産出額 9 兆円の主要品目:畜産 3.5 兆円/野菜 2.3 兆円/米 1.6 兆円/果実 1 兆円/花き 3,000 億円/麦・雑穀・豆類 1,500 億円
  • 農業経営体約 90 万経営体:家族経営 85 万(94 %・平均年齢 68 歳超)/法人経営 3.4 万(増加傾向)/集落営農 1.4 万(うち法人化 40 %)
  • 6 次産業化は今村奈良臣提唱、1 次×2 次×3 次=6 次、6 次産業化・地産地消法 2010 年 12 月成立・2011 年 3 月施行、市場規模約 2 兆円
  • 農業 GAP 3 種類:JGAP(日本国内約 6,000 農場)/ASIAGAP(GFSI 承認)/GLOBAL G.A.P.(世界標準・日本約 200 農場)
  • 東京 2020 オリンピック選手村食材調達で GAP 認証要求、国際標準として定着中
  • 有機 JAS 認証は JAS 法 1999 年改正で創設、認証農場約 5,000 件、有機農地面積約 3.5 万 ha(総農地の約 0.8 %)
  • みどりの食料システム戦略 2021 年 5 月策定:2050 年目標 CO₂ ゼロエミッション・化学農薬 50 % 減・化学肥料 30 % 減・有機農地 100 万 ha(25 %)・食品ロス半減
  • みどりの食料システム法 2022 年 5 月成立・7 月施行、認定事業者への金融・税制・技術支援

次のレッスンでは、食料自給率農産物・食品輸出 1.5 兆円目標(2030 年 5 兆円目標)、農産物 EC (食べチョクポケットマルシェ)、ふるさと納税を扱います。


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