ESG経営入門
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コース概要
ESG(Environment / Social / Governance)は、日本の上場企業にとって「守るべき規範」ではなく「対話する共通言語」になりました。機関投資家、格付機関、開示制度、規制当局——ステークホルダーが同じ言葉で会社を測り始めた時代の入門コースです。「非財務」ではなく「未財務」——将来のキャッシュフローに繋がる要素として ESG を捉えなおし、投資家サイドと発行体サイドの両方から見た景色を、2026 年 7 月時点の SSBJ・ISSB・東証プライム開示要件を踏まえて 8 レッスンで整理します。個別ベンダーの深追いや資格試験対策ではなく、次の中期経営計画・統合報告書・格付対応で使える「判断軸」を持ち帰ることが本コースの目的です。
学習の流れ
前半 4 レッスンで「制度の骨格」を固めます。レッスン 1 で ESG/CSR/CSV/SDGs/インパクトの位置関係と本コースの守備範囲、レッスン 2 で PRI と機関投資家 3 手法、レッスン 3 で IIRC → VRF → ISSB 統合の世界的系譜と IFRS S1/S2・SSBJ、レッスン 4 で東証プライムと改正内閣府令による日本の開示実務を扱います。中盤のレッスン 5 でコーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの相互作用、レッスン 6 で統合報告書の作り方(IIRC の 6 つの資本と価値創造プロセス)を扱います。後半のレッスン 7 で ESG 格付機関 5 社の比較と格付対応の実務、レッスン 8 でダブルマテリアリティとグリーンウォッシュ回避、修了後の学び方までを扱います。全 8 レッスン・約 200 分の構成です。
このコースで学べること
- ✓ ESG(Environment/Social/Governance)と CSR・CSV・SDGs・インパクトの位置関係を整理して説明できる
- ✓ PRI と機関投資家 3 手法(スクリーニング/インテグレーション/エンゲージメント)で ESG 投資の全体像を捉えられる
- ✓ IIRC → VRF → ISSB 統合の系譜と IFRS S1/S2、SSBJ 基準の位置づけがわかる
- ✓ 東証プライムのサステナビリティ開示要件と改正内閣府令による有価証券報告書サステナビリティ欄の実務を把握する
- ✓ コーポレートガバナンス・コード 3 回改訂とスチュワードシップ・コードの相互作用が読める
- ✓ 統合報告書を IIRC フレームワークの 6 つの資本と価値創造プロセスで設計できる
- ✓ ESG 格付機関 5 社(MSCI/Sustainalytics/FTSE Russell/S&P Global/CDP)を比較して格付対応の実務が組める
- ✓ ダブルマテリアリティとグリーンウォッシュ回避の考え方を持ち、開示戦略を組み立てられる
対象者
経営者・IR・経営企画・サステナビリティ推進・法務・広報部門。上場企業の意思決定に関わる方、あるいは非上場でも取引先の上場企業からサプライチェーン開示を求められる方。機関投資家との対話・格付対応・統合報告書執筆に関わる方
講師紹介
南 奈緒(みなみ なお)
ESG経営コンサルタント/元 外資系運用会社スチュワードシップ・シニアマネージャー/エンゲージメント経験 100 社超
国内大学経済学部を卒業後、英国大学院で MSc in Sustainability Management を修了。2005 年に国内大手金融機関のロンドン支店へリサーチアナリストとして新卒入社し、金融業界の基礎を身につけた。2010 年に外資系運用会社の欧州拠点へ移り、6 年間 ESG リサーチアナリストとして日本企業と欧州企業のダブルカバレッジを担当。2017 年に外資系運用会社ジャパンへ帰任し、スチュワードシップ・シニアマネージャーとして 5 年間、東証プライム上場企業 100 社超のエンゲージメントを主導、コーポレートガバナンス・コードや改正内閣府令の対応をパッシブ・アクティブ双方の運用者視点で伴走した。2022 年に独立し ESG 経営コンサルティング事務所を設立、2026 年 7 月時点で独立 4 年目、国内上場企業 30 社の IR・統合報告書・格付対応の伴走を継続。信条は「ESG は非財務ではなく未財務——将来キャッシュフローに繋がる」
受講される方へのメッセージ
「ESG 経営は、社会貢献の延長ではありません。上場企業にとっては、機関投資家との対話の共通言語であり、資本市場での競争条件であり、開示制度がその輪郭を形にします。本コースでは、投資家サイドで 12 年、独立コンサルとしてさらに 4 年、発行体側と投資家側の両方から見てきた景色を、2026 年 7 月時点の SSBJ・ISSB・東証プライム開示要件を踏まえて 8 レッスンで整理します。ロゴを貼るための ESG ではなく、次の中期経営計画で使える ESG の言葉を、持ち帰っていただきたいと考えています」
レッスン一覧
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1
ESG とは何か——「非財務」から「未財務」へ、CSR/CSV/ESG/SDGs/インパクトの位置関係
本コースの守備範囲(投資家・開示・ガバナンス視点)、ESG の 3 要素、CSR/CSV/ESG/SDGs/インパクト投資の位置関係、「非財務」から「未財務」への発想転換、境界明示、対象読者、中核メッセージ 6 個を学ぶ
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2
ESG 投資の系譜——PRI 2006 から現在まで
PRI(責任投資原則)2006 年設立、機関投資家 3 手法(スクリーニング/インテグレーション/エンゲージメント)、GPIF の PRI 加盟 2015 年、責任投資の広がり、パッシブ運用と ESG、機関投資家の意思決定プロセスを学ぶ
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3
開示制度の世界的系譜——IIRC → VRF → ISSB 統合
IIRC 2010 年設立と統合報告書フレームワーク 2013 年、SASB 2011 年設立と業種別基準、IIRC+SASB → VRF 2021 年統合、ISSB 2021 年 COP26 設立、VRF・CDSB 吸収 2022 年、IFRS S1/S2 公表 2023 年 6 月、SSBJ 発足 2022 年と日本基準確定 2025 年 3 月を学ぶ
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4
日本の開示実務——東証プライムと改正内閣府令
東証プライム市場再編 2022 年 4 月、有価証券報告書へのサステナビリティ情報記載欄新設(改正内閣府令 2023 年 1 月公布・3 月期以降適用)、コーポレートガバナンス報告書、独自の日本の情報開示ルート、有価証券報告書・コーポレートガバナンス報告書・統合報告書・SR レポートの位置関係を学ぶ
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5
コーポレートガバナンス・コード 3 回改訂とスチュワードシップ・コード
コーポレートガバナンス・コード制定 2015 年 6 月、改訂 2018 年 6 月、改訂 2021 年 6 月の変遷、スチュワードシップ・コード制定 2014 年 2 月と 2017 年 5 月・2020 年 3 月の改訂、コンプライ・オア・エクスプレイン、社外取締役、独立社外取締役、指名・報酬委員会、女性・国際性・専門性、ESG 開示の要請を学ぶ
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6
統合報告書の作り方——IIRC フレームワーク、6 つの資本、価値創造プロセス
IIRC 統合報告書フレームワークの 8 つの内容要素、6 つの資本(財務資本・製造資本・知的資本・人的資本・社会関係資本・自然資本)、価値創造プロセスとオクトパスモデル、統合思考、統合報告書 vs 有価証券報告書 vs サステナビリティレポートの使い分けを学ぶ
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7
ESG 格付機関 5 社の比較——MSCI/Sustainalytics/FTSE Russell/S&P Global/CDP
MSCI(1969 年設立、ESG リサーチ)、Sustainalytics(1992 年設立、Morningstar 2020 年買収)、FTSE Russell、S&P Global(Trucost 2016 年買収)、CDP(2000 年設立、質問書 3 領域)の位置づけ、各社の評価軸、質問書対応、格付対応の実務、鵜呑みにしないための格付機関との付き合い方を学ぶ
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8
ダブルマテリアリティとグリーンウォッシュ回避、修了後の学び方
シングルマテリアリティ vs ダブルマテリアリティ、EU CSRD 2022 年 12 月採択と 2024 年以降段階適用、ESRS、マテリアリティ分析の実務、グリーンウォッシュのパターンと事例、透明性の設計、SDGs ウォッシュ・人的資本ウォッシュ、修了後の学習方向(外部リソースのみ)を学ぶ
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総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(81語)
- 有価証券報告書
- 金融商品取引法に基づく法定書類。上場企業が事業年度ごとに提出、虚偽記載への罰則がある。2023 年 1 月の改正内閣府令で「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、2023 年 3 月期以降適用されている。→ レッスン 4
- インパクトマテリアリティ
- 企業活動が環境・社会に与える影響を重要性の判定基準とする考え方。ダブルマテリアリティを構成する 2 方向のうち 1 つ。EU CSRD/ESRS が採用。→ レッスン 8
- インパクト投資
- 意図的に社会的・環境的成果を生み出すことを目的とした投資。2007 年に Rockefeller Foundation 主導のイニシアチブから生まれた概念で、リターンだけでなくインパクトを測定・報告することが特徴。→ レッスン 1
- 英文開示
- 外国機関投資家の情報アクセスを促進するため、日本語の開示を英文でも提供すること。東証プライム市場再編(2022 年 4 月)でプライム上場企業に推奨された。→ レッスン 4
- エンゲージメント(えんげーじめんと)
- 機関投資家 3 手法の 1 つ。投資先企業と対話することで長期的な企業価値向上を促す活動。個別対話、議決権行使、集団的エンゲージメントの 3 形態がある。→ レッスン 2
- オクトパスモデル
- IIRC 統合報告書フレームワークが提示する価値創造プロセスの視覚化。インプット→ビジネスモデル→アウトプット→アウトカムの 4 段階を示す。多くの統合報告書で採用。→ レッスン 6