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スキルアップカレッジ

EdTech /GIGA スクール構想/リカレント教育

レッスン7:EdTech /GIGA スクール構想/リカレント教育

このレッスンで学ぶこと

  • EdTech 市場約 3,500 億円と主要プレイヤー(Classiすららatama+Monoxer)を理解する
  • GIGA スクール構想 2019 年 12 月閣議決定と 1 人 1 台端末実現を扱う
  • リカレント教育・リスキリング政策と教育訓練給付金を掴む
  • 生成 AI と教育の 3 論点(学習効果・評価改革・倫理)を把握する

前回のレッスンでは、少子化と大学淘汰・大学ファンド・国際卓越研究大学・大学ガバナンス改革を扱いました。今回は、教育業界の DX の中核——EdTech /GIGA スクール構想/リカレント教育/生成 AI と教育——を扱います。

EdTech 市場約 3,500 億円

EdTech(Education Technology、教育×テクノロジー)は、教育業界の DX を担う市場で、日本では 2010 年代半ばから急拡大しました。日本の EdTech 市場は 2024 年時点で約 3,500 億円(矢野経済研究所推計)、2030 年に 6,000 億円超が見込まれています。

主要プレイヤー

第 1 の Classi:2015 年設立、ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁。校内 SNS 、学習履歴管理、AI 学習コンテンツを提供し、公立高校の約 1,500 校(全体の約 3 割)が導入。学校向け SaaS の代表例です。

第 2 のすらら:2010 年サービス開始、株式会社すららネット(東証グロース上場)。AI ドリル型学習教材で、公立小中高、私立学校、学習塾、通信制高校で導入されています。合計導入校約 3,000 校、学習者 100 万人超。

第 3 の atama+(アタマプラス):2017 年設立、株式会社 atama plus 提供。AI で個別最適化学習を実現する予備校向け教材。大手予備校(Z 会エデュース、駿台、代々木ゼミナール、東進など)と連携し、生徒の理解度に応じてカリキュラムをリアルタイム調整する仕組みが特徴。累計調達額約 130 億円のスタートアップとして、EdTech の代表格です。

第 4 の Monoxer(モノグサ):2016 年設立、株式会社モノグサ提供。AI 記憶最適化アプリで、暗記系学習に特化。中学校・高校・学習塾で導入拡大。

第 5 の Progos:2017 年設立、株式会社レアジョブ子会社。英語スピーキング評価 AI で、CEFR 準拠の 4 技能評価を自動化。企業英語研修・大学英語授業で導入拡大。

第 6 の CyberOwl(サイバーアウル):2007 年設立、映像授業配信システム。学習塾・予備校向けの映像授業配信基盤として業界標準となっています。

外資系 EdTech の日本市場

  • Coursera(2012 年設立、米国):世界最大の MOOC プラットフォーム、日本ユーザー約 200 万人。日本の主要大学(東京大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学など)が講座提供。
  • Udemy(2010 年設立、米国):ベネッセと業務提携、B2B(法人向け)Udemy Business の日本展開が急拡大。
  • Duolingo(2011 年設立、米国):世界最大級の言語学習アプリ、日本ユーザー約 500 万人(英語学習)。
  • Khan Academy(2008 年設立、非営利):無料の教育コンテンツで世界的ブランド、日本語版は限定的。

GIGA スクール構想

GIGA スクール構想(Global and Innovation Gateway for All)は、2019 年 12 月 5 日に閣議決定された、公立小中学校の 1 人 1 台端末+高速通信整備の政策です。当初は 2023 年度末までの実施予定でしたが、コロナ禍で 2020 年に前倒しされ、2021 年 3 月までにほぼ全ての公立小中学校で 1 人 1 台端末が実現しました。

実施内容

  • 1 人 1 台端末(Chromebook 、iPad 、Windows タブレットの 3 種類が主流)
  • 高速通信(光回線・Wi-Fi)
  • クラウド学習環境(Google Workspace for Education 、Microsoft 365 Education 、Zoom for Education)
  • 学習履歴管理(校務支援システム、学習 e ポータル)

政府予算は総額約 4,610 億円が投入され、そのうち 1 人 1 台端末に約 2,300 億円、高速通信整備に約 500 億円、遠隔学習環境整備に約 100 億円が割り当てられました。1 人 1 台端末の 1 台当たり単価は約 45,000 円(政府補助上限)で、Chromebook が最も普及しています。

GIGA スクール構想の課題

  • 端末の更新問題(当初端末は 2023-2025 年頃に更新時期到来、更新費用の負担議論)
  • 校務 DX の遅れ(学習端末は普及したが、教員側の校務システムは古い)
  • Wi-Fi 環境の安定性(学校内の同時接続時のネットワーク遅延)
  • 教員の ICT 活用スキル差
  • BYOD 化議論(高校では家庭端末持ち込みの動きも)

第 2 期 GIGA スクール構想として、2024 年から端末更新・校務 DX ・高校生 1 人 1 台端末(BYOD 含む)の議論が本格化しています。

リカレント教育とリスキリング政策

リカレント教育は「働きながら学び直す」教育の総称で、日本では 2016 年頃から本格政策化されました。背景は第 4 次産業革命への対応、AI /DX 人材不足、非正規労働者の職務転換支援などです。

政府のリスキリング支援 5 年 1 兆円プラン

2022 年 10 月に岸田政権が発表した「リスキリング支援 5 年 1 兆円プラン」は、以下の施策で構成されます:

  • 個人向けリスキリング支援強化(教育訓練給付金の拡充)
  • 企業向け助成金(人材開発支援助成金の DX 加算)
  • 大学院・専門実践教育訓練指定講座の拡大
  • リスキリング支援協議会の設置

教育訓練給付金の 3 分類

教育訓練給付金は雇用保険制度に基づく給付金で、3 つの給付水準に区分されます:

  • 一般教育訓練給付:受講費用の 20 %(上限 10 万円)、TOEIC ・簿記・IT パスポートなど基礎資格
  • 特定一般教育訓練給付:受講費用の 40 %(上限 20 万円)、税理士・宅建・キャリアコンサルタントなど中堅資格
  • 専門実践教育訓練給付:受講費用の 50 %(上限 40 万円 / 年)、加えて資格取得後の追加給付 20 %(合計 70 %)、看護師・保育士・MBA ・データサイエンス修士などの高度専門資格

2024 年時点で対象講座は約 12,000 講座、年間受給者は約 30 万人、給付総額約 1,200 億円です。

社会人 MBA /大学院プログラム

社会人向けの MBA プログラムは 1990 年代から広がり、2024 年時点で約 100 校が提供しています。主要 MBA プログラム:

  • 早稲田ビジネススクール(1989 年開講、日本の MBA の先駆)
  • 慶應義塾大学経営管理研究科(KBS 、1962 年開講、日本最古の MBA )
  • 一橋大学経営管理研究科(金融戦略・経営財務プログラム)
  • グロービス経営大学院(2006 年開学、日本最大の MBA 学生数 約 6,000 人)
  • 立命館大学ビジネススクール(大阪 OIC 校を中心に展開)

学費は 200-500 万円 / 年で、専門実践教育訓練給付を活用すると自己負担が半減する仕組みが定着しています。

大学院ミニ MBA /エグゼクティブプログラム

短期・オンラインの社会人向けプログラムも拡大しています:

  • 東京大学 EMP(Executive Management Program、2008 年開講)
  • Wharton School Executive Education(オンライン)
  • INSEAD Executive Education(オンライン)
  • Coursera・edX の大学院修士(例:ジョージア工科大学 Online MS in CS)

これら「学位のない or 学位のあるオンライン MBA /修士」は、日本の社会人にも選択肢として広がりつつあります。

生成 AI と教育の 3 論点

ChatGPT(2022 年 11 月公開)以降、生成 AI が教育現場に急速に浸透しました。教育業界での生成 AI の論点は以下の 3 つに整理できます。

第 1 論点:学習効果

生成 AI を活用した個別最適化学習は、EdTech の次世代形として期待されています。ChatGPT を「AI 家庭教師」として活用する試み、AI が生徒の質問に無限に答える環境の構築、AI による自動問題生成・解説などが実践されています。

同時に、「AI に頼りすぎて自分で考えなくなる」学習効果の低下、AI 出力の誤情報を鵜呑みにする問題も指摘されています。

第 2 論点:評価改革

大学のレポート課題、宿題、小論文の評価が根本的に見直されています。ChatGPT でレポートを生成する学生が急増したことで、以下の対応が広がっています:

  • レポート課題の廃止 or 対面試験への回帰
  • ChatGPT 出力検出ツール(Turnitin AI Detection 、GPTZero)の導入
  • プロセス評価(下書き・議論・修正過程の記録)
  • 独自の口頭試問・プレゼンテーション評価

大学入試も、AI 対応の出題(AI の答えを議論する問題、AI の判断を批判する問題)への転換が検討されています。

第 3 論点:倫理

  • 生徒のプライバシー(AI 学習履歴の管理)
  • 著作権(AI 教材の権利、学生の AI 生成物の権利)
  • 教員の役割再定義(AI に代替できる部分・できない部分)
  • AI 依存と学習権
  • 地域・所得格差(AI アクセスできる生徒とできない生徒)

文部科学省は 2023 年 7 月に「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」を策定し、2024-2025 年に本格ガイドラインが順次整備される見通しです。文科省の基本方針は「生成 AI は学習を支援するツールとして活用可能。ただし、批判的思考力・議論力・創造力を育成する教育の中核は変わらない」です。

📝 補足 生成 AI と教育の関係は、「AI が教育を破壊する」論と「AI が教育を進化させる」論の両論が併存しています。実務的には、教員の裁量に多くが委ねられており、学校ごとの取り組み差が大きい状態です。中長期的には、教育の在り方そのものが問い直される変革期に入っています。

まとめ

このレッスンでは、以下のことを学びました。

  • EdTech 市場約 3,500 億円(2024 年)、2030 年に 6,000 億円超見込み、主要プレイヤー:Classi(2015 年ベネッセ×ソフトバンク、公立高校 1,500 校導入)/すらら(2010 年、東証グロース上場)/atama+(2017 年、AI 個別最適化、累計調達 130 億円)/Monoxer(2016 年、AI 記憶最適化)/Progos(英語スピーキング評価)
  • 外資系 EdTech:Coursera(日本 200 万人)/Udemy(ベネッセ提携)/Duolingo(日本 500 万人)/Khan Academy
  • GIGA スクール構想は 2019 年 12 月 5 日閣議決定、2020 年コロナ対応で前倒し、2021 年 3 月までに公立小中学校の 1 人 1 台端末実現、政府予算総額約 4,610 億円
  • 端末更新・校務 DX ・高校 BYOD 化の第 2 期 GIGA スクール構想が 2024 年から議論本格化
  • リスキリング支援 5 年 1 兆円プラン(2022 年 10 月岸田政権発表):教育訓練給付金拡充、企業向け助成金 DX 加算、専門実践教育訓練指定講座拡大
  • 教育訓練給付金 3 分類:一般 20 %/特定一般 40 %/専門実践 50 %+追加 20 %(合計 70 %)
  • 社会人 MBA 約 100 校、主要プログラム:早稲田 WBS 1989 年/慶應 KBS 1962 年/一橋/グロービス 2006 年
  • 生成 AI と教育の 3 論点:学習効果/評価改革(レポート課題見直し、ChatGPT 検出ツール)/倫理(プライバシー・著作権・格差)、文科省 2023 年 7 月暫定ガイドライン

次のレッスンでは、教員働き方改革の実情、保育所待機児童、専門学校、日本語学校と留学生 40 万人計画、生成 AI 教育の未来、修了後の継続学習方向を扱います。


確認クイズ

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