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学校教育法・私立学校法・教員免許法——3 法体系と教員採用試験

レッスン3:学校教育法私立学校法教員免許法——3 法体系と教員採用試験

このレッスンで学ぶこと

  • 学校教育法(1947 年制定)と 6-3-3-4 制、学習指導要領の枠組みを理解する
  • 私立学校法(1949 年制定)と学校法人制度、私学助成金の仕組みを掴む
  • 教員免許法(教育職員免許法 1949 年制定)と普通免許 4 種類を扱う
  • 教員採用試験の実務、教員働き方改革、給特法改正を把握する

前回のレッスンでは、教育業界のバリューチェーンと業態別ビジネスモデル、業界横断の 5 経営課題を扱いました。今回は、教育業界を規律する 3 法体系(学校教育法・私立学校法・教員免許法)と、教員採用試験の実務を扱います。

学校教育法——6-3-3-4 制の根拠法

学校教育法は 1947 年 3 月 31 日に制定された、日本の学校制度の中核をなす基本法です。戦後の学制改革で「6-3-3-4 制」(小学校 6 年・中学校 3 年・高等学校 3 年・大学 4 年)を制度化しました。以前の旧制度(尋常小学校 6 年→旧制中学校 5 年→旧制高等学校 3 年→旧制大学 3 〜 4 年)から、米国型の単線型学制に転換した歴史的法律です。

学校教育法の主要規定:

  • 第 1 条学校:幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校(2016 年新設)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(大学院・短期大学を含む)、高等専門学校の 9 種類
  • 第 124 条:専修学校(専門課程、高等課程、一般課程の 3 課程)
  • 第 134 条:各種学校(自動車教習所、料理学校、日本語学校など)
  • 学習指導要領:文部科学大臣が告示する教育課程の基準(10 年ごと改訂、直近 2017-2019 年改訂・2020-2022 年順次実施)

学習指導要領の改訂周期

学習指導要領は約 10 年ごとに改訂され、時代の変化を反映します。直近改訂の主なポイントは以下です。

  • 小学校 2020 年度全面実施:外国語(英語)3-6 年生必修化、プログラミング教育必修化
  • 中学校 2021 年度全面実施:主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)
  • 高校 2022 年度入学生から順次実施:情報 I 必修化、公共・地理総合・歴史総合の必修化
  • 大学入学共通テスト 2025 年度から情報 I 出題開始

次の改訂は 2030 年前後の見通しで、生成 AI 対応、STEAM 教育、探究学習の拡充などが論点です。

私立学校法——学校法人と私学助成金

私立学校法は 1949 年 12 月に制定された、私立学校の設置・運営・監督を定める法律です。私立学校の主体は「学校法人」で、宗教法人・公益社団法人などとは別の法人形態です。

学校法人の主要ガバナンス機関:

  • 理事会:業務決定、5 人以上(半数以上は評議員の同意を要す)
  • 監事:法人業務の監査、2 人以上
  • 評議員会:理事の 2 倍以上の評議員で構成、重要事項の諮問

私立学校法改正 2023 年 5 月

2023 年 5 月に私立学校法が大改正され、2025 年 4 月施行されました。ガバナンス強化の主な内容:

  • 理事と評議員の兼職禁止(一部例外あり)
  • 理事会と評議員会の役割分離
  • 監事の権限強化(監査計画・監査報告の充実)
  • 会計監査人の選任義務化(大規模学校法人)
  • 内部統制システムの整備義務

背景は、2018 年の日本大学の巨額背任事件、2022 年の日本大学理事長解任、複数の学校法人の不祥事などです。企業のコーポレートガバナンス・コード相当の改革が学校法人にも求められた形です。

私学助成金

私学助成金は、私立学校振興助成法(1975 年 7 月制定)に基づき、国から私立学校に対して経常費を補助する制度です。私立大学は日本私立学校振興・共済事業団経由で経常費補助を受け、私立高校・中学は都道府県経由の間接補助が中心です。

私立大学の私学助成金は年間約 2,900 億円(2024 年度予算)で、私立大学収入の 10 % 前後を占めます。教育・研究の水準、経営の健全性、財政状態などで配分が決まり、社会的責任遂行のインセンティブ設計になっています。

教員免許法——普通免許 4 種類

教育職員免許法(略称:教員免許法)は 1949 年 5 月に制定された、教員資格を定める法律です。教員免許の 3 分類:

  • 普通免許:全国で通用、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の 5 校種+教科ごとに区分
  • 特別免許:都道府県教育委員会が授与、社会人向け(弁護士、看護師、外国人など)
  • 臨時免許:3 年間限定、教員不足時の緊急措置

普通免許の 4 種類:

  • 専修免許(大学院修了レベル)
  • 1 種免許(大学卒業レベル、標準)
  • 2 種免許(短大卒業レベル、幼小のみ)
  • 特別免許(社会経験ある実務家)

教員免許更新制の廃止(2022 年 7 月)

教員免許更新制は 2009 年 4 月に導入され、10 年ごとの更新講習義務が課されていましたが、2022 年 7 月に廃止されました。理由は、講習受講の負担、教員働き方改革との整合性、教員不足への対応です。

代わって「新たな教師の学び姿」(学び続ける教師のための研修体系、2023 年 4 月〜)が導入され、都道府県教育委員会による研修記録の管理、研修奨励が主軸となりました。

教員採用試験の実務

教員採用試験は各都道府県・政令指定都市の教育委員会が毎年夏(6-8 月)に実施する、公立小中高校教員の採用試験です。国立大学附属学校や私立学校は独自採用で、教員採用試験の枠外です。

試験の主要構成:

  • 教職教養(教育史・教育心理学・教育法規)
  • 一般教養(時事、社会、理科、数学)
  • 専門教養(教科別、担当予定教科の内容)
  • 論作文(教育観、指導計画)
  • 面接(個人面接、集団面接、集団討論、模擬授業)
  • 実技(音楽・図工・体育・英会話など)

倍率は都道府県・校種で大きく異なり、小学校教員は近年 2-3 倍と低倍率(都市部では 2 倍を切る自治体も)、中学校・高校は教科によって 5-10 倍と高倍率です。特に大都市部の教員不足が深刻化しており、東京都・大阪府・愛知県などは教員採用の 2 次募集、通年募集、社会人特別選考を実施しています。

教員採用試験の変化

2020 年代の教員採用試験は、以下の変化が進行しています:

  • 大学 3 年次から受験可能(早期選考、東京都は 2024 年度〜)
  • 特別免許の柔軟活用(社会人・退職者・弁護士・IT エンジニアなど)
  • 英検・TOEIC 保有者の英語試験免除
  • 通年募集(教員不足対応)
  • 給与増額(東京都は 2024 年から採用一年目の給与を 5 % 引き上げ)

教員働き方改革と給特法

教員働き方改革は 2019 年頃から本格化した、公立学校教員の長時間労働解消のための制度改革です。給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、1971 年制定)は、公立教員に対する残業代を「教職調整額 4 % 一律支給」で置き換え、実質的に残業代を支払わない制度でしたが、2019 年 12 月改正で以下が実施されました:

  • 時間外勤務時間の上限規制(月 45 時間・年 360 時間の目安、災害等の場合月 100 時間未満)
  • 変形労働時間制の導入可能化(年単位、教員合意が前提)
  • 業務削減の指針化

2024 年 5 月には給特法の再改正案が国会提出され、教職調整額の 4 % → 10-13 % 引き上げ(段階実施)、時間外勤務時間の実効的な規制などが議論されています。2025 年度から段階施行される見通しです。

部活動地域移行 2023 年度〜

部活動指導は教員の残業時間の大きな要因で、2018 年から段階的に「地域移行」(地域スポーツ団体・文化団体への移管)が進められています。2023 年度から公立中学校の休日部活動の段階的な地域移行が本格開始され、2025 年度末までの完了目標です。ただし現場では受け皿となる地域団体の不足、指導者確保、費用負担の課題が続いています。

⚠️ 注意 教員働き方改革は「教員を守る」政策と「教員を減らして DX で代替する」政策のせめぎ合いです。教員 1 人当たり業務量削減と、教員数増加、EdTech による業務代替、部活動地域移行、事務職員配置などの複数施策が組み合わさって進行しています。

まとめ

このレッスンでは、以下のことを学びました。

  • 学校教育法は 1947 年 3 月 31 日制定、6-3-3-4 制の根拠法、9 種類の第 1 条学校+専修学校+各種学校
  • 学習指導要領は約 10 年ごと改訂、直近 2017-2019 年改訂・2020-2022 年順次実施(英語必修・プログラミング必修・情報 I 必修)
  • 私立学校法は 1949 年 12 月制定、学校法人+理事会・監事・評議員会のガバナンス、2023 年 5 月大改正で 2025 年 4 月施行
  • 私学助成金は私立学校振興助成法 1975 年 7 月制定、私立大学の私学助成金は年間約 2,900 億円(2024 年度予算)
  • 教員免許法は 1949 年 5 月制定、普通免許 4 種類(専修・1 種・2 種・特別)、教員免許更新制は 2022 年 7 月廃止・新たな研修体系に移行
  • 教員採用試験は各都道府県・政令指定都市の教育委員会が毎夏実施、都市部の教員不足深刻化、大学 3 年次受験・社会人特別選考の拡大
  • 給特法は 1971 年制定・2019 年 12 月改正で時間外勤務時間規制、2024 年 5 月再改正案で教職調整額 4 %→10-13 % 引き上げ議論
  • 部活動地域移行は 2023 年度から公立中学校休日部活動の段階的移行開始、2025 年度末完了目標

次のレッスンでは、公立学校と私立学校の構造差、学校法人会計、私立中高一貫校の隆盛、SAPIX日能研/早稲田アカデミー/四谷大塚の中学受験 4 大塾を扱います。


確認クイズ

このレッスンの理解度をチェックしましょう。