創業の手続きと法人設立——会社員から「法人代表」になる
レッスン3:創業の手続きと法人設立——会社員から「法人代表」になる
このレッスンで学ぶこと
- 個人事業と法人の違いと、スタートアップが法人を選ぶ理由
- 株式会社と合同会社の違いと選択の基準
- 定款・登記の流れと、創業時の資本金の決め方
- 創業時の株式・株主構成と、創業者間契約・ベスティングの意味
- 会社設立後に必要な届出(税務署・年金事務所・労基署・自治体)
前回のレッスンでは、アイデアの検証と PMF を扱いました。今回は、検証と並行して進める「法人設立」を扱います。会社員から「法人代表」になるための手続きと、後戻りが効きにくい初期の意思決定を順に学びます。
個人事業と法人の違い
事業を始めるとき、最初に選ぶのが「個人事業として始めるか、法人を設立するか」です。スタートアップは原則として法人で始めるのが標準的ですが、なぜそうなのかを理解しておくと、後の判断軸が安定します。
個人事業は、開業届を税務署に提出するだけで始められ、設立費用がほぼかかりません。会計処理もシンプルで、運営の柔軟性も高い形態です。一方で、事業の負債は無限責任で個人にかかり、株式を発行できないため外部からのエクイティ・ファイナンスは原則できません。スモールビジネスとして始めて利益を出すには向きますが、スタートアップとしての外部資本調達には適しません。
法人は、株式や持分の発行により所有と経営を分離できる組織形態です。設立に費用と手続きがかかり、会計処理も複式簿記が必須で運営の負担が増えますが、有限責任となり、エクイティ・ファイナンスが可能で、対外信用も得やすくなります。スタートアップが外部資本を調達して急成長を目指すなら、法人格は前提条件です。
💡 ポイント スタートアップは法人を選びます。理由は、有限責任、エクイティ・ファイナンス、対外信用、ストックオプションの発行、出口戦略(IPO や M&A)への接続のすべてが法人を前提にしているためです。
副業として小さく始めて反応を見たいなら、最初は個人事業で 1〜2 年やり、本格化のタイミングで法人化(法人成り)する道もあります。ただし、株主との関係や創業者間契約を後付けで整える手間が増えるため、共同創業者がいる場合や 1 年以内に外部資本調達を見込む場合は、最初から法人を選ぶのが現実的です。
株式会社と合同会社の選択
法人を選ぶと決めたあと、次の選択肢が「株式会社」と「合同会社」です。日本の会社法は 2006 年の改正で合同会社を導入し、以来、設立コストの低さから合同会社を選ぶスタートアップも増えました。両者の違いを整理します。
株式会社は、株式を発行して資金を集め、株主が出資者として所有し、取締役が経営を担う形態です。所有と経営の分離が制度的に確立しており、外部からの資金調達、ストックオプションの発行、株式の譲渡が標準的にできます。設立費用は登録免許税 15 万円(資本金の 1,000 分の 7 が 15 万円を超える場合はその額)、定款認証費用 3〜5 万円(資本金額により段階制)、収入印紙 4 万円(電子定款の場合は不要)など、おおむね 25 万円前後が必要です。
合同会社は、出資者が経営も担う形態(出資者=社員)で、株式を発行しません。設立費用は登録免許税 6 万円、定款認証は不要、収入印紙 4 万円(電子定款の場合は不要)で、おおむね 10 万円前後とコストが低くなります。一方で、株式発行ができないため VC からのエクイティ調達ができず、ストックオプション制度も使えません。
スタートアップで VC 調達を視野に入れるなら、最初から株式会社を選ぶのが原則です。「最初は合同会社で始めて、後から株式会社に変更する」という選択もできますが、組織変更登記の手続きと費用、定款の作り直しが必要になり、創業時に株式会社で始めるよりも累計コストが高くなることが多いです。
📝 補足 合同会社は、外部資本を入れず家族や少人数で運営するスモールビジネスや、海外の親会社の日本法人として置く場合に向いています。アマゾンジャパン合同会社、グーグル合同会社など、外資系企業の日本法人で広く使われている形態でもあります。
合同会社にもメリットがあり、設立コストの低さに加え、定款変更や利益配分が柔軟、決算公告義務がない、役員任期がないなどの特徴があります。スモールビジネスとして長期に営むなら、合同会社が合理的な選択になる場合があります。本コースの対象はスタートアップであるため、以降の章は株式会社を前提に進めます。
定款・登記の流れ
株式会社の設立は、定款の作成、定款の認証、出資の払込み、登記申請の 4 ステップで進みます。
第 1 ステップは、定款(ていかん)の作成です。定款は会社の根本規則を定めた文書で、商号(会社名)、本店所在地、事業目的、発行可能株式総数、設立時発行株式数、資本金額、機関設計(取締役会の有無など)、株式の譲渡制限の有無、決算期などを記載します。スタートアップで VC 調達を見込む場合は、種類株式の発行枠(優先株式の発行枠)、譲渡制限、機関設計(取締役会設置会社か否か)を将来の調達計画に合わせて設計する必要があります。
第 2 ステップは、定款の認証です。公証人役場で認証を受けます。電子定款を選ぶと収入印紙代 4 万円が不要になるため、現在の創業ではほぼ電子定款が標準です。司法書士に依頼すると電子定款の作成と認証手続きを代行してもらえます。手数料は司法書士事務所により異なりますが、おおむね 5〜10 万円が相場です。
第 3 ステップは、出資の払込みです。発起人が個人の銀行口座に資本金を払い込み、払込証明書を作成します。法人口座は登記完了後に開設するため、設立段階では発起人の個人口座を使います。
第 4 ステップは、登記申請です。法務局に登記申請書、定款、払込証明書、印鑑届書などを提出します。登記完了までは申請から 1〜2 週間程度です。登記完了日が「会社設立日」となり、登記事項証明書(登記簿謄本)が取得できるようになります。
⚠️ 注意 創業者が定款と登記をすべて自力でやる必要はありません。VC 調達を見込むスタートアップなら、ベンチャー支援に慣れた司法書士や弁護士に依頼するのが標準です。スタートアップ向け司法書士の手数料は 10〜20 万円程度で、定款の設計ミスによる将来の手戻りコストを考えると安価な投資です。
資本金の決め方
資本金は、会社設立時の出資総額です。会社法上は 1 円から株式会社を作れますが、スタートアップで創業時に 1 円とすることは現実的でなく、資本金の決め方にはいくつかの考慮点があります。
第 1 の考慮点は、運転資金です。最初の数ヶ月〜半年の運転資金(オフィス、人件費、システム費、外注費)を、創業者の自己資金として資本金に投入する場合、その金額が資本金になります。シード調達まで 3〜6 ヶ月かかると想定し、その期間の月次バーンレートに見合った資本金を準備します。
第 2 の考慮点は、消費税の免税要件です。資本金 1,000 万円未満で設立すると、原則として設立から 2 年間(第 1 期と第 2 期)は消費税の納税義務が免除されます。1,000 万円以上で設立すると初年度から納税義務が生じます。創業初期は売上が少ないため、1,000 万円未満で設立して免税期間を活用するのが一般的です。
ただし、2023 年 10 月のインボイス制度開始以降、免税事業者でいると取引先の課税事業者から仕入税額控除を受けられなくなるため、適格請求書発行事業者として登録することが多くなっています。登録すると免税の恩恵は失われますが、取引先との関係を維持する選択として現実的です。
第 3 の考慮点は、対外信用です。資本金が極端に少ない(数万円や数十万円)と、銀行口座の開設、オフィスの賃貸、取引先との契約などで対外信用上のハードルが生じます。100 万円〜500 万円程度が、対外信用と免税枠の両立の現実的な範囲です。
第 4 の考慮点は、法人住民税の均等割です。法人住民税の均等割は資本金の規模によって変わります。資本金 1,000 万円以下なら均等割額は最も低い水準に収まります(自治体により 7 万円前後)。1,000 万円超になると均等割額が上がります。
💡 ポイント 創業初期の資本金は、運転資金と免税要件と対外信用と均等割を総合して、おおむね 100 万円〜500 万円が現実的な範囲です。シード調達のタイミングで資本金は増えていきます。
株式の発行と種類株式
会社設立時には、定款で「発行可能株式総数」と「設立時発行株式数」を定めます。発行可能株式総数は将来発行できる上限で、後の調達で増やせます。設立時発行株式数は、設立時点で実際に発行する株式数です。
スタートアップの実務では、創業時の発行株式数を 1 株単位ではなく、10,000 株や 100,000 株といったまとまった単位で設計します。理由は、将来のストックオプション付与や種類株式の発行を細かい比率で行えるようにするためです。例えば、設立時に 100,000 株を発行しておくと、ストックオプションを「100 株単位」で柔軟に配分できます。1,000 株しか発行していないと、ストックオプションが粗い単位でしか配れません。
種類株式(しゅるいかぶしき)は、普通株式とは異なる権利を持つ株式です。会社法は議決権、配当、残余財産分配などについて、種類ごとに異なる定めを許容しています。スタートアップの世界で「優先株式」と呼ばれるものは、種類株式の一種で、主に投資家保護を目的に設計されます。優先株式の代表的な権利は次のとおりです。
- 優先分配権:会社が清算や売却される際に、普通株主より先に投資額を回収する権利
- 残余財産分配の優先権:清算時に、残余財産を普通株主より先に受け取る権利
- 議決権制限または特別議決事項:特定の意思決定に対して優先株主の同意を要する
創業時に発行するのは普通株式が一般的で、優先株式はシード以降の投資ラウンドで投資家向けに発行します。優先株式の詳細はレッスン 6 で扱います。
📝 補足 創業時に「発行可能株式総数」を設立時発行株式数の 10 倍程度に設定しておくのが、将来の調達と SO 付与に備えた一般的な設計です。例えば設立時 100,000 株なら、発行可能株式総数を 1,000,000 株にしておきます。
創業時の株主構成と共同創業者間の持株比率
設立時の株主が複数いる場合、最初に決めなければならないのが「持株比率」です。創業者間の持株比率は、後の意思決定の質を左右する重要な設計事項です。
均等分割(2 人で 50:50、3 人で 1/3 ずつ)は、平等主義として一見望ましく見えますが、意思決定の硬直化のリスクを抱えます。50:50 の場合、2 人の意見が割れたときに決まらず、創業初期の高速な意思決定が止まります。3 人で 1/3 ずつの場合は多数決ができますが、創業者間の力関係が変動したときに調整が難しくなります。
VC 業界で広く参照される設計は、「貢献度・責任の重さ・初期投入リソースの差を反映した非均等比率」を、創業時に意識的に選ぶことです。Y Combinator のパートナーや有名 VC のパートナーが繰り返し述べているのは、「持株比率は、創業から数年後の貢献度を予測した上で、長期的に納得できる比率に設計せよ」という発想です。
ただし、非均等比率の作り方には注意が必要です。「アイデアを出した人が多めに持つ」「資金を出した人が多めに持つ」といった単純なロジックは、創業後の貢献度と乖離しやすく、後の不満の温床になります。むしろ、「コミットの厚さ(フルタイムか副業か、家族の協力度合いか)」「機会費用(参加するために失うものの大きさ)」「役割の重要性(CEO か CTO か COO か)」を総合して、長期で納得できる比率を作るのが現実的です。
代表的なパターンとして、2 人創業なら 60:40 や 65:35、3 人創業なら 50:30:20 や 45:30:25 が、ピボットや離脱が起きても破綻しにくい比率の一つとされます。CEO がほかの創業者より少し多めを持ち、最終意思決定の責任を明確化する設計です。
⚠️ 注意 「とりあえず均等にしておいて、後で調整しよう」は、最も避けるべき設計です。後からの調整は税務上の問題(株式の譲渡は譲渡所得課税の対象、贈与は贈与税の対象)と感情の問題を同時に引き起こします。創業時に「将来の調整しなくて済む比率」を作ることが、後の自分を救います。
創業者間契約(Founders' Agreement)
持株比率を決めると同時に、創業者間契約(Founders' Agreement、創業株主間契約とも呼ぶ)を結びます。創業者間契約は、創業者同士の関係と株式の扱いを明文化した契約で、創業時に必ず作るべき文書です。
創業者間契約の主要項目は次の 5 つです。
- 役割と責任の分担:CEO・CTO・COO など、各創業者の役割と意思決定の範囲を明確化する
- 株式の譲渡制限:創業者が会社を離れたとき、株式を第三者に売却しないようにする制限
- ベスティング(後述):創業者の株式が時間とともに帰属していく仕組み
- 競業避止:在任中および離任後の競業行為の制限
- 紛争解決:意見が割れた際の解決メカニズム(社外メンターの介在、第三者の調停、最終的な仲裁条項など)
これらを「信頼関係があるから書かなくてよい」と判断する創業者は、毎年一定数います。しかし、創業 3〜5 年で創業者間に予想外の事態が起きたとき、契約がないと事業全体が停止します。私が VC として観察してきた範囲では、創業者間契約のない会社は、シリーズ A の段階で必ず作り直しを求められ、その時点で創業者間に温度差があると合意が取れず、調達自体が頓挫することがあります。
創業者間契約は、ベンチャーに慣れた弁護士に依頼するのが標準で、費用は 30〜50 万円程度が相場です。テンプレートをそのまま使うのではなく、自社の状況(共同創業者の人数、役割、初期コミット度合い)に合わせてカスタマイズします。
ベスティング(Vesting)と Cliff
ベスティングは、創業者の株式が「時間とともに本人に帰属していく」仕組みです。創業時に株式を全量受け取るのではなく、一定期間勤続することで段階的に「自由に処分できる権利」が確定していきます。
代表的な設計は「4 年ベスティング、1 年 Cliff」です。これは Silicon Valley のスタートアップで広く使われ、日本でも標準的に採用されています。仕組みは次のとおりです。
- 4 年ベスティング:4 年かけて全株式の権利が確定する
- 1 年 Cliff(クリフ):最初の 1 年間は、1 株も権利確定しない
- 1 年経過時:全体の 25 % が一括で権利確定する
- 以降:残り 75 % が毎月(または 3 ヶ月ごと)に均等に権利確定し、4 年で 100 % に到達
例えば、1 人の創業者が 30,000 株を保有する場合、入社後 1 年未満で離脱すると 0 株、1 年経過時に 7,500 株、2 年で 15,000 株、3 年で 22,500 株、4 年で 30,000 株が帰属します。途中で離脱した場合、未確定分は会社が買い戻すか、ほかの創業者・社員に再配分されます。
💡 ポイント ベスティングは「共同創業者を信用していないから」ではなく、「短期離脱のリスクを将来のメンバーから守る」ためのものです。共同創業者が 6 ヶ月で離脱したのに、全株式を持ったまま離れていったら、残された創業者と将来の社員にとって不公平です。
ベスティングは、創業者間で「短期で離脱した共同創業者に過大な株式を渡さない」仕組みであると同時に、投資家が VC 調達時にほぼ必ず要求する条項でもあります。創業者間契約と同時に設定するのが標準で、ベンチャーに慣れた弁護士が起案します。
Cliff の意味は、「最初の 1 年で本気でコミットするかを確認する期間」です。共同創業者として参加して 3 ヶ月で離脱した場合、その期間の働きに対しては給与で報い、株式は帰属させないという発想です。Cliff の期間は、米国・日本ともに 1 年が標準です。
📝 補足 ベスティングは創業者だけでなく、初期社員にストックオプションを付与する際にも標準的に設定します。社員向けの SO は通常「4 年ベスティング、1 年 Cliff」で設計され、創業者ベスティングとパラレルになります。これはレッスン 4 で扱います。
会社設立後の届出
登記が完了したら、会社設立後の各種届出を行います。提出先と期限を整理します。
税務署への届出は次の 5 つが主要です。
- 法人設立届出書(設立日から 2 ヶ月以内)
- 給与支払事務所等の開設届出書(開設から 1 ヶ月以内)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(任意、社員 10 人未満の場合)
- 青色申告の承認申請書(設立後 3 ヶ月以内または最初の事業年度終了日のうち早い日まで)
- 消費税課税事業者選択届出書または適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス制度関連)
都道府県税事務所と市町村役場には、それぞれ法人設立届出書を提出します(自治体により書式と期限が異なるため、自治体の HP で確認します)。
社員を雇用する場合は、年金事務所と労働基準監督署、ハローワークへの届出も必要です。
- 年金事務所:健康保険・厚生年金保険新規適用届(雇用開始から 5 日以内)
- 労働基準監督署:労働保険関係成立届(雇用開始の翌日から 10 日以内)、就業規則届(社員 10 人以上の場合)
- ハローワーク:雇用保険適用事業所設置届(雇用開始の翌日から 10 日以内)
これらの届出は、提出が遅れると罰則や追徴の対象になるものがあります。創業時に司法書士・税理士・社労士のいずれかに相談し、スケジュールを整理しておくと安心です。
🔰 初学者の方へ 創業の手続きは多岐にわたり、初めての方には負担が大きく感じられるかもしれません。私自身、1 社目で「自分で全部やる」と意気込んで定款を書き、登記を申請しましたが、半年後に種類株式の設計ミスが発覚して書き直すコストを払いました。創業に集中するためにも、ベンチャー支援に慣れた士業(司法書士・税理士・弁護士)を初期から起用するのが、結果的には時間とお金の節約になります。
講師の現場メモ
私の 1 社目(1999 年創業)では、創業者 3 名で持株比率を 40:30:30 にし、創業者間契約は結びませんでした。当時は私自身が「契約は信頼の不在を示す」と誤解していて、握手だけで進めました。3 年後、創業者 1 名が個人的な事情で離脱した際、株式の扱いをめぐって 2 ヶ月の交渉が必要になり、結果として残された創業者が個人資金で株式を買い取ることになりました。当時の私たちには大きな経済的・時間的コストで、創業者間契約があれば 1 週間で解決できたであろう問題でした。
VC 側に回って 60 社以上の創業者と関わる中で、私は「創業者間契約とベスティングは創業時の必須インフラ」と確信するようになりました。とくにベスティングは、共同創業者の方々に最初に説明するときに抵抗を受けやすい話題です。「自分の株を 4 年かけてやっと自分のものにする、というのは仲間を信用していないようで嫌だ」という反応を、いまでもよく聞きます。
そのときに私がお伝えするのは、「ベスティングはあなたを守るための仕組みでもある」という説明です。共同創業者の 1 人が半年で離脱したのに、その方が 1/3 の株式を持ち続けたら、残された方々と将来採用する社員にとって極端な不公平です。ベスティングがあれば、「離脱した方には 1 年経つまで株式が帰属しない」ため、残された方々と社員が引き継いでいける構造になります。
法人設立で迷っている方によくお伝えするのは、「最初から株式会社、最初からベンチャー支援に慣れた士業」の 2 点です。合同会社で始めて後から株式会社に変更するコストは、最初から株式会社で作るコストより高くつきます。一般の士業ではなく、スタートアップ案件を 50 件以上扱った経験のある士業を選ぶことで、種類株式の設計やストックオプションの設計が将来の調達に整合する形で作れます。
まとめ
このレッスンでは、以下のことを学びました。
- スタートアップは法人を選び、その中でも株式会社が外部資本調達に整合する
- 株式会社の設立は、定款作成・認証・払込み・登記の 4 ステップで進む
- 資本金は運転資金・消費税免税要件・対外信用・住民税均等割を総合して 100 万円〜500 万円が現実的
- 創業時の発行株式数は 10,000 株〜100,000 株単位で設計し、将来の SO 付与に備える
- 持株比率は均等分割を避け、貢献度・コミット・役割を総合して 60:40 や 50:30:20 が現実的なパターン
- 創業者間契約は役割・譲渡制限・ベスティング・競業避止・紛争解決の 5 項目を明文化する
- ベスティングは「4 年・1 年 Cliff」が標準で、創業者を守り社員を守る仕組み
- 設立後の届出は税務署・自治体・年金事務所・労基署・ハローワークに段階的に行う
次のレッスンでは、法人設立と並んで創業初期の重大な意思決定である「初期チーム作り」を扱います。共同創業者の選び方、最初の 10 人の採用、ストックオプションによる報酬設計、カルチャー設計を順に学びます。
確認クイズ
このレッスンの理解度をチェックしましょう。