金融業(銀行・証券・保険)のビジネス基礎
公開日:
コース概要
金融業は銀行部門総資産約 2,300 兆円、生保総資産約 400 兆円、投信純資産約 350 兆円という圧倒的な規模を持つ、日本経済の血流とも呼べる基幹産業です。にもかかわらず、業界外の方には「ことば」「規制」「商品構造」がわかりにくい世界です。本コースは、金融業(銀行・証券・保険)に転職・配属された事務系・営業・人事・経理・経営企画の担当者と、金融クライアントを担当するコンサル・SIer・ファンドマネジャー・不動産・広告代理店・編集者の両方を主軸に、金融業を「業界として読み解く眼鏡」を 8 レッスンで提供します。3 大領域と 3 大機能、業態別の収益モデル、銀行・証券・保険それぞれの業務、金融規制と Basel III・IFRS17、リスク管理、フィンテック 4 領域、金利環境転換とESG まで扱います。
学習の流れ
レッスン 1 で金融業の現在地・3 大領域と 3 大機能・本コースの 3 視点(転職者/担当者/提案者)を共有します。レッスン 2 で「金融業の全体地図」としてバリューチェーンと業態別収益モデル、安全性・収益性・流動性のトリレンマ、フロント/ミドル/バックの 3 層組織を扱います。レッスン 3 〜 5 が「3 領域を個別に読み解く」本体で、銀行業(L3)、証券業(L4)、保険業(L5)を順に学びます。レッスン 6 で 3 領域に共通する規制体系(Basel III・IFRS17・AML/KYC)とリスク管理を扱い、レッスン 7 でフィンテック 4 領域(決済・貸付・投資・保険)と金融 DX、レッスン 8 で 2026 年時点の業界トレンド(金利環境・少子高齢化・ESG・資産運用立国)と修了後の継続学習を扱って締めくくります。金融の現場経験がない方が、「業界外から内に入ったとき」または「業界外から接するとき」に立ち止まらないための土台を作るコースとして設計しています。
このコースで学べること
- ✓ 金融業の 3 大領域(銀行・証券・保険)と 3 大機能(資金仲介・決済・リスク移転)を地図化できる
- ✓ 銀行・証券・保険それぞれの収益モデルと主要 KPI(銀行 OHR /ROE、証券 AUM、保険 ソルベンシーマージン/Combined Ratio)を読み解ける
- ✓ 銀行業の 3 機能(決済・預金・貸出)と業態別ビジネスモデル、金利環境の転換を理解する
- ✓ 証券業の 3 業務(ブローカレッジ・IB・アセットマネジメント)と金融商品、新 NISA・iDeCo の意味を理解する
- ✓ 保険業の 3 分類(生保・損保・少額短期)、保険料構造、ソルベンシーマージン、IFRS17 の要点を把握する
- ✓ 金融規制体系(金融庁・日銀・SESC)、Basel III、4 大リスクと計測手法、AML/KYC/CFT を理解する
- ✓ フィンテック 4 領域(決済・貸付・投資・保険)と埋込型金融・BaaS・API 銀行の潮流を理解する
- ✓ 金利環境転換・少子高齢化・ESG・資産運用立国など、金融業の 2026 年時点の主要トレンドを把握する
対象者
金融業(銀行・証券・保険)に転職・配属された事務系・営業・HR・人事・経理・経営企画担当者と、金融クライアントを担当するコンサル・SIer・ファンドマネジャー・不動産・広告代理店・編集者を両方主軸とする。金融の現場経験はないが「業界としての金融業を読み解きたい」社会人 3 年目以上を対象。金融業に向けた提案・営業を行う方も含む。3 大領域(銀行・証券・保険)を業種横断で扱う
講師紹介
池田 智子(いけだ ともこ)
金融専門コンサルタント/元 大手都市銀行 総合職・元 大手生命保険 経営企画・元 大手金融コンサル
東京大学経済学部卒業後、大手都市銀行(3 メガバンクグループ=三菱 UFJ/みずほ/三井住友類似想定)に新卒入行し 12 年(個人リテール営業 3 年、大企業法人営業 3 年、投資銀行部門 3 年、経営企画部 3 年、金融庁出向 1 年含む)。個人・法人・IB・企画・監督のローテーションで銀行業の各機能を経験。2014 年に大手生命保険会社(日本生命/第一生命/明治安田生命類似想定)の経営企画部へ転じて 5 年(プロダクト戦略・アクチュアリー連携・ソルベンシーマージン管理・IFRS17 対応の前段階)。銀行と保険の両業界の視座を持つ稀少な人材。2019 年に大手金融コンサルティング会社(BCG/Bain/McKinsey/KPMG/Deloitte/PwC の金融部門類似想定)へ転籍して 5 年(銀行・証券・保険の横断プロジェクト、DX 支援、規制対応、経営統合・M&A アドバイザリーを年間 6 〜 8 社規模で主導)。2024 年に独立し、現在は銀行・証券・保険業界で 50 社超のコンサル経験を持つ金融専門コンサルタントとして年間 10 社の顧問・支援を継続。スタンス:「金融業は『信用』と『情報』の二階建て」「規制と技術のあいだで最適点を探す仕事」「銀行・証券・保険は違う言語を話す 3 つの国」「金利がすべての金融の基準線」「リスクは消せない、動かすもの」「顧客の資産・負債・リスクを翻訳できる人が重宝される」「フィンテックは既存金融の破壊者ではなく、新しい 4 つ目のプレイヤー」
受講される方へのメッセージ
「「金融のクライアントを担当することになりました」「銀行に転職したのですが、業界の言語がわかりません」「証券から保険に社内異動になりました、同じ金融のはずなのに全く違う世界です」——独立してから、この数年で最もよく受けてきた相談です。金融業は日本経済の血流であり、銀行部門総資産約 2,300 兆円・生保総資産約 400 兆円・投信純資産約 350 兆円という圧倒的な規模を持ちながら、業界外の方には「ことば」と「規制」がわかりにくい世界です。BIS、OHR、預貸率、AUM、ソルベンシーマージン、IFRS17、Basel III、AML、KYC——これらが当たり前に飛び交う会議で、何が議論されているかを理解できるかどうかは、転職者にとっても担当者にとっても提案者にとっても、最初の半年の関わり方を大きく左右します。本コースは、都銀 12 年・生保 5 年・金融コンサル 5 年、独立後 50 社超の支援で見えてきた「金融業を読み解く眼鏡」を、業界外の方に向けて 8 レッスンで届けます。銀行・証券・保険は「違う言語を話す 3 つの国」ですが、共通する 3 大機能(資金仲介・決済・リスク移転)と、共通する 3 つの共通言語(信用・情報・時間)を押さえれば、俯瞰から読み解けるようになります。「規制と技術のあいだで最適点を探す発想」を、本コースで身につけていきましょう。」
レッスン一覧
-
1
金融業の現在地と本コースの守備範囲
金融業の定義と 3 大領域(銀行・証券・保険)、日本経済での位置(銀行部門総資産約 2,300 兆円・生保総資産約 400 兆円・投信純資産約 350 兆円)、3 大機能(資金仲介・決済・リスク移転)、金融業を取り巻く構造変化(金利環境転換・少子高齢化・DX /フィンテック・ESG)、本コースの守備範囲(転職者・担当者・提案者の 3 視点)、金融業の 3 つの共通言語(信用・情報・時間)、金融のことば(利ざや・OHR・BIS・ソルベンシーマージン・AUM)が翻訳できる価値を学ぶ
-
2
金融業のバリューチェーンと収益モデル——資金仲介・決済・リスク移転の三角形
Michael Porter のバリューチェーンの金融業版、3 領域の収益モデル比較(銀行 = 資金利益 + 役務取引等利益、証券 = 委託手数料 + 引受手数料 + 運用手数料、保険 = 保険料収益 + 運用収益)、「安全性・収益性・流動性のトリレンマ」の三角形、金融機関の典型組織(フロント/ミドル/バックの 3 層と機能配置)、KPI 比較(銀行 ROE /OHR、証券 AUM、保険 ソルベンシーマージン/Combined Ratio)を学ぶ
-
3
銀行業のビジネス基礎——リテール・法人・投資銀行と金利環境
銀行の 3 機能(決済・預金・貸出)、業態別(都銀 3 メガ/地銀・第二地銀/信金・信組/ネット銀行/ゆうちょ)とビジネスモデル差、収益構造(資金利益 = 貸出金利 − 預金金利の利ざや、非資金利益 = 役務取引等)、個人業務(住宅ローン・カードローン・投信販売・保険窓販・遺言信託)、法人業務(法人向け貸出・シンジケートローン・外為・トランザクションバンキング)、投資銀行部門(M&A・IPO 引き受け・公募増資・社債引き受け)、主要 KPI(預貸率・預貸金利ざや・OHR・不良債権比率・自己資本比率・ROE)、金利環境の転換(マイナス金利 2016-2024 → 解除 2024 年 3 月 → 政策金利引き上げ)、地銀再編(SBI 新生銀行モデル)、コアバンキングシステム刷新を学ぶ
-
4
証券業とアセットマネジメント——市場・商品・投信・新 NISA
業態別(総合証券 4 社/ネット証券 SBI・楽天・マネックス/IB 専業)、3 業務(ブローカレッジ・IB /M&A /引受・アセットマネジメント)、金融商品(株式・債券・投信・ETF・デリバティブ・仕組債)、市場(プライマリー vs セカンダリー)、東証プライム/スタンダード/グロース(2022 年 4 月市場区分再編)、投信の 5 分類、公募 vs 私募、資産運用会社の役割、主要 KPI(AUM = 運用資産残高・預り資産・稼働口座数・ARPU)、新 NISA 拡充(2024 年 1 月)と資産運用立国宣言(2023 年 12 月)、iDeCo と確定拠出年金、投資一任契約と投資助言・代理業を学ぶ
-
5
保険業のビジネス基礎——生命保険・損害保険・アクチュアリー
保険業の 3 分類(生保・損保・少額短期保険)、生保商品体系(終身・定期・養老・医療・がん・変額・外貨建て・変額年金)、損保商品体系(自動車・火災・地震・傷害・賠責・企業向け・工事保険)、保険料の構造(純保険料 = 予定死亡率/予定利率/予定発生率・付加保険料 = 予定事業費)、責任準備金と積立金、ソルベンシーマージン比率(200 % 規制ライン)、アクチュアリーの役割、IFRS17(2023 年国際適用、日本 2025 年 4 月〜)と CSM、主要 KPI(新契約 ANP・保有契約 ANP・EEV/EV/MCEV、損保 Combined Ratio)、保険代理店・銀行窓販・保険ショップ、少額短期保険と外貨建て保険問題を学ぶ
-
6
金融規制とリスク管理——監督・Basel・AML/KYC
金融監督体制(金融庁 FSA・日銀・証券取引等監視委員会 SESC)、主要法令(銀行法・金融商品取引法・保険業法・貸金業法・資金決済法)、Basel 委員会と Basel III(自己資本比率 8 %/レバレッジ比率 3 %/LCR /NSFR)、4 大リスクと計測手法(信用リスク PD/LGD/EAD/RWA、市場リスク VaR/ES、オペリスク、流動性リスク)、Stress Test と Reverse Stress Test、IFRS 9 予想信用損失モデル(ECL)、AML/KYC /CFT の 3 セット、犯罪収益移転防止法(2007 年)と FATF 相互審査、経済制裁と疑わしい取引の届出、コーポレートガバナンス・コード(2015)とスチュワードシップ・コード(2014)、顧客本位の業務運営原則(2017)= フィデューシャリー・デューティー、金融庁の課徴金・行政処分を学ぶ
-
7
フィンテックと金融 DX——決済・API・埋込型金融・暗号資産
フィンテック 4 領域(決済/貸付/投資/保険)、キャッシュレス比率(2024 年約 39 %、2026 年 40 % 目標)、QR コード決済(PayPay /楽天ペイ/d 払い/au PAY /メルペイ)、Apple Pay /Google Pay、BNPL(Paidy・メルペイスマート払い・Klarna・Afterpay)、埋込型金融(Embedded Finance)と非金融事業者の金融機能取込、BaaS(Banking as a Service)と GMO あおぞらネット銀行・住信 SBI ネット銀行、API 銀行とオープンバンキング(改正銀行法 2018)、電子決済等代行業者、ロボアドバイザー(WealthNavi 2016・THEO・SBI ラップ)、投資一任契約と手数料モデル、暗号資産(金商法改正 2020「仮想通貨」→「暗号資産」)、DeFi と STO と NFT、CBDC(日銀パイロット実験 2023-2026)、SWIFT と国際送金の高コスト構造を学ぶ
-
8
業界トレンドと金融業の未来——金利・少子高齢・ESG・修了後の継続学習
金利環境の転換(マイナス金利政策 2016 年 2 月導入 → YCC 修正 2022 年 12 月 → マイナス金利解除 2024 年 3 月 → 政策金利引き上げ)、少子高齢化と金融(相続大移動・預金流出・地銀再編・ゆうちょ改革)、ESG 投資と気候変動(TCFD 2015 年 FSB 設立/2017 年推奨事項・ISSB IFRS S1/S2 2023・GX 経済移行債 2024 発行開始・NGFS)、資産運用立国宣言(2023 年 12 月)と新 NISA 拡充、三メガの海外展開(アジア戦略)と外為リスク、外貨建て保険問題・仕組債問題と顧客本位、大再編(SBI 新生銀行モデル)、金融業 AI ユースケース(与信・不正検知・チャットボット・レコメンド)、修了後の継続学習方向を学ぶ
-
✓
総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(130語)
- アクチュアリー(あくちゅありー)
- 保険会社の中核専門職。日本アクチュアリー会の資格保有者で、商品開発(保険料の 3 予定計算)・リスク管理・準備金評価・決算・EEV 評価を担う。資格取得には 5 〜 10 年かかることが多い。
- アセットマネジメント
- AM と略す。投資信託・投資一任・年金運用・ヘッジファンドなどの運用商品を提供・運用する業務。資産運用会社が担い、AUM に応じた運用報酬(Management Fee)で稼ぐ。
- 委託手数料
- 証券会社のブローカレッジ業務で得る手数料。株式・債券・投信の売買仲介手数料。2023 年 9 月から SBI・楽天・マネックスが国内株式売買手数料を無料化。
- 一般物品
- 免税制度で、消耗品と区別される耐久品。金融業とは直接関係しないが、証券会社の免税対応で登場する場合がある。 → ―
- 埋込型金融
- Embedded Finance の訳。非金融事業者が自社サービスに金融機能(決済・融資・保険)を組み込むトレンド。Amazon Lending、Shopify Capital、Uber Money、メルカリ Bank などが代表例。
- 円建て
- 日本円建ての商品・取引。外貨建てと対比され、為替リスクがないのが特徴。