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スキルアップカレッジ

量子コンピューティング入門

新しいIT・先端技術 中級 全8レッスン 約200分

公開日:

コース概要

量子コンピューティングは、1982 年に Richard Feynman が「量子系のシミュレーションには量子系のコンピュータが必要」と提唱してから 44 年の歴史を持ちます。1994 年の Shor アルゴリズム、1996 年の Grover アルゴリズムを経て、2011 年 5 月の D-Wave One 商用化、2019 年 10 月の Google Sycamore「量子超越」達成——を経て、2026 年 7 月時点では「使う側」の意思決定が現実の論点になりつつあります。本コースは、物理学の専門教育を受けていない事業企画・R&D・DX 推進・情シス・広報の意思決定者に向けて、量子コンピューティングの原理・ハードウェア・アルゴリズム応用・量子暗号を、数式を極力減らして 8 レッスンで体系化します。「量子コンピュータは速い古典コンピュータではない——問題の種類が違う」を背骨に、次の PoC 検討・技術評価で使える判断軸を持ち帰っていただきます。

学習の流れ

前半 4 レッスンで「原理とハードウェア」を固めます。レッスン 1 で量子コンピューティングの全体像と 3 つの誤解、レッスン 2 で qubit・重ね合わせ・もつれ、レッスン 3 で量子ゲートと主要アルゴリズム、レッスン 4 でハードウェア各社比較を扱います。中盤のレッスン 5 で NISQ から FTQC への移行と誤り訂正、レッスン 6 で量子アルゴリズム応用(組合せ最適化・量子化学・量子機械学習)を扱います。後半のレッスン 7 で量子暗号・PQC・QKD、レッスン 8 で業種別ユースケースと修了後の学び方までを扱います。全 8 レッスン・約 200 分の構成です。

このコースで学べること

  • 量子コンピュータと古典コンピュータの本質的な違いを説明できる
  • qubit・重ね合わせ・もつれ・量子ゲートの基本概念を非物理系にも通じる言葉で整理できる
  • Shor・Grover・QAOA など主要量子アルゴリズムの直感的な意味を語れる
  • 超伝導・イオントラップ・中性原子・光・量子アニーリングのハードウェア各社を俯瞰できる
  • NISQ から FTQC への移行と量子誤り訂正の意義を理解できる
  • 量子アルゴリズム応用(組合せ最適化・量子化学・量子機械学習)の適用領域を判断できる
  • 量子暗号・PQC・QKD の関係と Shor が RSA/ECC を破る原理を語れる
  • 業種別ユースケース(金融・製薬・物流・素材)と自社 PoC の判断軸を持ち帰れる

対象者

事業企画・R&D・DX 推進・金融業リサーチ・製薬 R&D・素材メーカー R&D・情シス・広報。量子コンピューティングの導入判断・PoC 検討・技術評価を担う方、量子技術を「使う側」の意思決定者、非物理系のマネジメント層

講師紹介

佐伯 みなみ(さえき みなみ)

量子コンピューティング応用コンサルタント/元 国内大手金融機関量子応用研究員/量子技術評価支援 20 社超

国内大学 物理学科を卒業後、米国大学院で PhD in Quantum Information Science を取得。2005 年に博士号取得後、そのまま米国大手 IT 企業の量子コンピューティング研究チームで研究員として 5 年勤務し、超伝導量子ビットの基礎研究に携わった。2010 年に国内大手電機メーカーの中央研究所に移り、量子デバイス研究と量子ソフトウェア開発を 7 年担当。2017 年に国内大手金融機関の量子応用チームで組合せ最適化・量子機械学習の応用研究を 5 年主導し、ポートフォリオ最適化・信用リスク評価の量子アルゴリズム検証を進めた。2022 年に独立し量子コンピューティング応用コンサルタント事務所を設立、2026 年 7 月時点で独立 4 年目、金融・製造・製薬企業 20 社の量子技術評価・PoC を伴走している。信条は「量子コンピュータは速い古典コンピュータではない——問題の種類が違う」

受講される方へのメッセージ

「量子コンピュータは 1982 年の Feynman の提唱から数えて 44 年、Shor アルゴリズム 1994 年から 32 年、D-Wave の商用第 1 号 2011 年から 15 年——長い研究時代を経て、いま「使う側」の意思決定が現実の論点になりつつあります。本コースは、物理学の専門教育を受けていない事業企画・R&D・DX 推進・情シスの意思決定者に向けて、qubit・重ね合わせ・もつれ・量子ゲートといった原理側の言葉から、業種別ユースケース、Shor が RSA を破る原理、そして 2030 年前後の NISQ から FTQC への移行までを 8 レッスンで体系化しました。数式を極力減らし、Mermaid 図解と比喩で理解を進めます。既刊のクラウド系入門コースで扱う PQC 規制対応と棲み分け、本コースは計算原理と業種横断のアルゴリズム応用に軸足を置きます」

レッスン一覧

  1. 1

    量子コンピューティングとは何か——古典コンピュータとの違いと 3 つの誤解

    本コースの守備範囲、Feynman 1982 の提唱、量子コンピュータと古典コンピュータの本質的な違い、3 つの誤解(速い/万能/すべての計算)、コース守備範囲・境界明示、量子化 quantization(モデル圧縮)と量子 quantum の区別を学ぶ

  2. 2

    qubit・重ね合わせ・もつれ——量子計算の 2 本柱

    qubit(キュビット)の概念、ブロッホ球、Dirac 記法の入口(|0⟩/|1⟩)、重ね合わせ(superposition)、もつれ(entanglement、ベル状態、EPR ペア)、no-cloning 定理、古典ビットとの計算資源の違いを学ぶ

  3. 3

    量子ゲートと量子回路——Bell 状態から Grover・Shor まで

    Hadamard/Pauli/CNOT ゲート、量子回路の記法、Deutsch アルゴリズム 1985、Grover 1996 の直感的説明(√N 高速化)、Shor 1994 の直感的説明(素因数分解の指数加速)を学ぶ

  4. 4

    量子ハードウェア各社比較——超伝導/イオントラップ/中性原子/光/量子アニーリング

    超伝導(IBM/Google/Rigetti)、イオントラップ(IonQ/Quantinuum)、中性原子(QuEra)、光(PsiQuantum)、量子アニーリング(D-Wave)、国産(理研「叡」2023/3 クラウド公開 64 qubit)の 6 方式の位置づけと選定軸を学ぶ

  5. 5

    NISQ vs FTQC と量子誤り訂正

    NISQ 時代 Preskill 2018、FTQC の目標、量子誤り訂正(Shor code 1995・Steane code 1996・Surface code)、Google 表面符号エラー抑制 2023、閾値定理、2030 年前後の景色を学ぶ

  6. 6

    量子アルゴリズム応用——組合せ最適化・量子化学・量子機械学習

    組合せ最適化(QAOA・VQE Peruzzo et al. 2014・金融ポートフォリオ・物流ルート・スケジューリング)、量子化学(創薬・触媒設計・材料設計)、量子機械学習(QSVM・QNN)の 3 応用領域と自社 PoC の判断軸を学ぶ

  7. 7

    量子暗号・PQC・QKD——Shor が破り、格子暗号が守る

    Shor が RSA/ECC を破る原理側、PQC 概要(NIST FIPS 203/204/205 2024/8/13 は概要のみ、詳細は既刊クラウド系入門コースを参照)、QKD BB84 プロトコル 1984、中国「墨子号」QKD 衛星 2016/8、Harvest Now Decrypt Later の視点を学ぶ

  8. 8

    業種別ユースケースと修了後の学び方

    金融(ポートフォリオ最適化・信用リスク・不正検知)、製薬(分子シミュレーション・創薬)、物流(ルート最適化)、素材(材料設計)、企業導入 4 段階、修了後の学び方(IBM Qiskit Textbook・Microsoft Quantum Katas・国内コミュニティ)を学ぶ

  9. 総復習テスト

    全レッスンの内容を振り返るテスト

このコースの用語集(66語)
位相反転
qubit の |1⟩ 成分に -1 の位相を掛けるエラー。古典ビットの反転(bit flip)に加えて、量子ビット特有のエラー種類の 1 つ。 → レッスン 5
誤り閾値
量子誤り訂正が有効に働く物理 qubit のエラー率の上限。Surface code の閾値は約 1% で、これを下回れば論理 qubit のエラー率を任意に小さくできる(閾値定理)。 → レッスン 5
閾値定理
Threshold Theorem。物理 qubit のエラー率が閾値を下回れば、論理 qubit のエラー率を任意に小さくできることを保証する理論。1996-1998 年に複数の研究者が独立に証明。 → レッスン 5
重ね合わせ
Superposition。qubit が |0⟩ と |1⟩ の両方の状態を同時に持つ現象。α|0⟩ + β|1⟩ の形で表現され、|α|² + |β|² = 1 の関係を満たす。 → レッスン 2
古典コンピュータ(こてんこんぴゅーた)
現在の PC・スマホ・サーバー・スパコンをすべて含む、ビット(0/1)で決定論的に計算するコンピュータ。量子コンピュータとの対比で使う用語。 → レッスン 1
光量子
Photonic Quantum。光子(光の粒子)を qubit として使う量子コンピュータ方式。PsiQuantum・Xanadu が主要プレイヤー。常温動作の可能性、光ファイバー技術との親和性が強み。 → レッスン 4