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スキルアップカレッジ

用語集

量子コンピューティング入門コースで使われる主要な用語(66語)をまとめています。

位相反転 (いそうはんてん)
qubit の |1⟩ 成分に -1 の位相を掛けるエラー。古典ビットの反転(bit flip)に加えて、量子ビット特有のエラー種類の 1 つ。 → レッスン 5
誤り閾値 (あやまりしきいち)
量子誤り訂正が有効に働く物理 qubit のエラー率の上限。Surface code の閾値は約 1% で、これを下回れば論理 qubit のエラー率を任意に小さくできる(閾値定理)。 → レッスン 5
閾値定理 (しきいちていり)
Threshold Theorem。物理 qubit のエラー率が閾値を下回れば、論理 qubit のエラー率を任意に小さくできることを保証する理論。1996-1998 年に複数の研究者が独立に証明。 → レッスン 5
重ね合わせ (かさねあわせ)
Superposition。qubit が |0⟩ と |1⟩ の両方の状態を同時に持つ現象。α|0⟩ + β|1⟩ の形で表現され、|α|² + |β|² = 1 の関係を満たす。 → レッスン 2
古典コンピュータ(こてんこんぴゅーた)
現在の PC・スマホ・サーバー・スパコンをすべて含む、ビット(0/1)で決定論的に計算するコンピュータ。量子コンピュータとの対比で使う用語。 → レッスン 1
光量子 (ひかりりょうし)
Photonic Quantum。光子(光の粒子)を qubit として使う量子コンピュータ方式。PsiQuantum・Xanadu が主要プレイヤー。常温動作の可能性、光ファイバー技術との親和性が強み。 → レッスン 4
コヒーレンス時間(こひーれんすじかん)
qubit の重ね合わせが保たれる時間。この時間内に計算を終える必要がある。超伝導方式は短く、イオントラップは長い傾向。 → レッスン 4
超伝導方式 (ちょうでんどうほうしき)
Josephson 接合を qubit として使う量子コンピュータ方式。IBM・Google・Rigetti が主要プレイヤー。極低温冷凍機(絶対零度に近く)で動作、qubit 数の増加が比較的容易。 → レッスン 4
中性原子方式 (ちゅうせいげんしほうしき)
Neutral Atom。レーザーで捕捉した中性原子(電荷を持たない原子)の内部状態を qubit として使う方式。QuEra・Pasqal が主要プレイヤー。 → レッスン 4
電子的(電磁的)遠隔作用 (でんじてきえんかくさよう)
Einstein が「不気味な遠隔作用」と表現した、もつれた qubit 間の距離に依存しない相関。1935 年 EPR パラドックスの中核概念。 → レッスン 2
量子 (りょうし)
Quantum。物理学の量子力学、および本コースが扱う量子コンピューティング。「量子化 quantization(AI モデル圧縮)」とは全く別の意味。 → レッスン 1
量子アニーリング(りょうしあにーりんぐ)
Quantum Annealing。量子ゆらぎを利用して最適化問題の最低エネルギー状態を探す方式。D-Wave が代表的で、ゲート型と全く別のパラダイム。Grover や Shor は動かせない。 → レッスン 4
量子暗号 (りょうしあんごう)
QKD。Quantum Key Distribution。量子力学の原理(no-cloning、測定の破壊性)を使って安全な鍵配送を実現する技術。BB84 が代表プロトコル。 → レッスン 7
量子ゲート(りょうしげーと)
qubit を操作する基本演算。可逆・ユニタリ変換・線形性の 3 特徴を持ち、Hadamard・Pauli・CNOT が 3 大基本ゲート。 → レッスン 3
量子化 (りょうしか)
Quantization。AI モデルの数値精度を落として計算量を減らす古典コンピュータ側の技術(float32 → int8 など)。「量子 quantum」とは全く別の意味。既刊 AI 系入門コースで詳述。 → レッスン 1
量子回路 (りょうしかいろ)
複数の量子ゲートを組み合わせた量子計算の実行構造。古典論理回路と根本的に発想が異なり、可逆性と重ね合わせを前提とする。 → レッスン 3
量子化学 (りょうしかがく)
分子のエネルギー計算とタンパク質相互作用のシミュレーション。Feynman 1982 の想定した「量子系のシミュレーション」の直接的な応用領域。創薬・触媒設計・材料設計で期待される。 → レッスン 6
量子機械学習 (りょうしきかいがくしゅう)
Quantum Machine Learning、QML。量子コンピュータで機械学習を高速化・高精度化する試み。QSVM、QNN、量子強化学習など。古典の深層学習の急進で優位実証が難しくなっている。 → レッスン 6
量子計算 (りょうしけいさん)
Quantum Computing。qubit を使った計算。古典計算とは問題の種類が違う。 → 全レッスン
量子コンピューティング(りょうしこんぴゅーてぃんぐ)
量子コンピュータを使った情報処理。ハードウェア・ソフトウェア・アルゴリズム・応用を含む総称。 → 全レッスン
量子コンピュータ(りょうしこんぴゅーた)
qubit を基本単位に計算する装置。特定の問題領域で古典コンピュータより高速な可能性があるが、汎用性は古典より狭い。 → 全レッスン
量子誤り訂正 (りょうしあやまりていせい)
Quantum Error Correction、QEC。物理 qubit のエラーを論理 qubit のレベルで訂正する技術。no-cloning・測定の破壊性で古典より根本的に難しい。Shor code 1995、Steane code 1996、Surface code が代表。 → レッスン 5
量子超越 (りょうしちょうえつ)
Quantum Supremacy。特定の問題で量子コンピュータが古典スパコンより高速に解けることを実証すること。Google Sycamore が 2019 年 10 月 23 日に達成発表。ただし解いた問題は特殊で、実用性は限定的。 → レッスン 4
量子鍵配送 (りょうしかぎはいそう)
「量子暗号」参照。QKD。 → レッスン 7
量子ビット (りょうしびっと)
qubit の日本語訳。「qubit」参照。 → レッスン 2
量子未来社会ビジョン(りょうしみらいしゃかいびじょん)
内閣府が 2022 年 4 月 22 日に公表した日本の量子技術戦略。量子コンピューティング・量子通信・量子計測の 3 分野で研究開発を推進。 → レッスン 4
量子優位性 (りょうしゆういせい)
Quantum Advantage。実用的な問題で量子コンピュータが古典より優位であることを示すこと。量子超越とは別物で、実用性を伴う。実現時期と領域は問題領域ごとに違う。 → レッスン 4
レンジ (れんじ)
本コースでは扱わない量子光学の用語。 → 該当なし
AES (Advanced Encryption Standard)
共通鍵暗号の標準。Grover アルゴリズムで √N 加速される程度で、鍵長を 2 倍にすれば対策できる範囲。量子時代でも生き残る暗号。 → レッスン 7
BB84 プロトコル
Charles Bennett(IBM)と Gilles Brassard(モントリオール大学)が 1984 年に提唱した最初の QKD プロトコル。名前は BB(Bennett & Brassard)と 84(発表年)から。 → レッスン 7
CNOT ゲート
Controlled-NOT ゲート。2 qubit ゲートで、制御 qubit が |1⟩ のとき標的 qubit を反転させる。Hadamard + CNOT の 2 段組みでベル状態を生成できる。 → レッスン 3
D-Wave
2011 年 5 月に世界初の商用量子アニーリング装置 D-Wave One を発表。以降 D-Wave Advantage(5,000+ qubit)まで進化。ゲート型と全く別のパラダイム。 → レッスン 4
David Deutsch
1985 年に最初の量子アルゴリズム(Deutsch アルゴリズム)を発表した量子計算の先駆者。「量子コンピュータが古典より本質的に速い問題が存在する」ことを初めて示した。 → レッスン 3
Dirac 記法
量子力学で標準的な記法。|0⟩、|1⟩ でケットベクトルを、〈0|、〈1| でブラベクトルを表す。α|0⟩ + β|1⟩ が重ね合わせ状態の一般形。 → レッスン 2
EPR パラドックス
Einstein、Podolsky、Rosen が 1935 年に論文で議論した思考実験。もつれた粒子の遠隔作用に対する Einstein の違和感が起点。その後の実験で「相関の確認であり情報伝達ではない」と整理された。 → レッスン 2
FIPS 203 / 204 / 205
NIST PQC 標準。2024 年 8 月 13 日確定。FIPS 203(ML-KEM/CRYSTALS-Kyber、格子暗号)、FIPS 204(ML-DSA/CRYSTALS-Dilithium、格子暗号)、FIPS 205(SLH-DSA/SPHINCS+、ハッシュベース)。 → レッスン 7
FTQC (Fault-Tolerant Quantum Computing)
誤り耐性量子コンピュータ。量子誤り訂正が有効に機能し、任意の深い回路を高精度に実行できる将来の量子コンピュータ。2030 年〜2040 年の実用化を目指すロードマップが多い。 → レッスン 5
Google Quantum AI
Google の量子コンピュータ研究部門。2019 年 10 月 Sycamore で「量子超越」達成、2023 年 2 月に Surface code エラー抑制を Nature に発表。 → レッスン 4、5
Grover アルゴリズム
Lov Grover が 1996 年に発表した探索アルゴリズム。N 個の要素から特定の要素を √N 倍高速に探索できる。AES などの共通鍵暗号に限定的な影響。 → レッスン 3
Hadamard ゲート
決定的な状態から重ね合わせを作る 1 qubit ゲート。|0⟩ を (|0⟩ + |1⟩) / √2 に、|1⟩ を (|0⟩ - |1⟩) / √2 に変換。ほぼすべての量子アルゴリズムの最初に使われる。 → レッスン 3
Harvest Now Decrypt Later
攻撃者が今の RSA/ECC 暗号化通信を盗聴・保管し、将来 Shor が実用化した時点で復号する攻撃モデル。長期機密性が必要な情報を扱う組織は PQC 移行を今から計画する必要がある。 → レッスン 7
IBM Quantum
IBM の量子コンピュータ研究・商用化部門。2016 年 5 月に IBM Quantum Network を発足、クラウド経由の商用化を先導。Osprey 433 qubit(2022/11)、Condor 1,121 qubit(2023/12)を発表。 → レッスン 4
IBM Qiskit
IBM が提供する量子コンピューティング開発フレームワーク。公式無料テキスト Qiskit Textbook がある。企業 PoC の第一候補として推奨。 → レッスン 4、8
IonQ
2015 年設立、2021 年 10 月に NYSE 上場(SPAC 経由)のイオントラップ方式代表企業。 → レッスン 4
NISQ (Noisy Intermediate-Scale Quantum)
現在の量子コンピュータの位置。John Preskill が 2018 年に提唱。ノイズが多く、中規模(数十〜数千 qubit)、量子誤り訂正なしの 3 特徴。 → レッスン 5
no-cloning 定理
1982 年に Wootters・Zurek・Dieks が独立に証明。「任意の未知の量子状態を、完全に複製することはできない」ことを保証。QKD の安全性の理論的裏付け。 → レッスン 2
Pauli ゲート(X, Y, Z ゲート)
1 qubit の基本ゲート。X は古典 NOT、Y は Y 軸周りの 180 度回転、Z は |1⟩ に -1 位相を掛ける。 → レッスン 3
Peter Shor
1994 年に Shor アルゴリズム(素因数分解の指数加速)、1995 年に Shor code(量子誤り訂正の最初の突破口)を発表した量子計算の主要研究者。 → レッスン 3、5
PQC (Post-Quantum Cryptography)
耐量子暗号。量子コンピュータでも破れないと期待される古典コンピュータで動く暗号。格子暗号(現在最有力)、符号ベース、多変数多項式、ハッシュベースが主要方式。NIST が 2024 年 8 月 13 日に FIPS 203/204/205 を確定。 → レッスン 7
PsiQuantum
2016 年設立の光量子方式の代表企業。100 万 qubit 級 FTQC を目指す長期ビジョン。 → レッスン 4
QAOA (Quantum Approximate Optimization Algorithm)
Farhi、Goldstone、Gutmann が 2014 年に提唱した組合せ最適化アルゴリズム。NISQ 時代のハイブリッド型アルゴリズムの代表。 → レッスン 6
QKD (Quantum Key Distribution)
量子鍵配送。量子力学の原理を使って安全な鍵配送を実現する技術。BB84 プロトコル 1984 が代表。 → レッスン 7
QNN (Quantum Neural Network)
量子ニューラルネットワーク。量子機械学習の主要アルゴリズムの 1 つ。 → レッスン 6
QSVM (Quantum Support Vector Machine)
量子サポートベクターマシン。カーネル法の量子版。量子機械学習の主要アルゴリズムの 1 つ。 → レッスン 6
qubit (キュビット、量子ビット)
Quantum Bit。量子コンピュータの基本単位。0 と 1 の重ね合わせ状態を持つ。n qubit で 2^n 通りの状態を同時に扱える。 → レッスン 2
Quantinuum
2021 年 11 月に Honeywell Quantum Solutions と Cambridge Quantum が統合して設立された、イオントラップ方式の技術リーダー。 → レッスン 4
QuEra Computing
2018 年設立、ハーバード・MIT 起源の中性原子方式代表企業。 → レッスン 4
Rigetti Computing
2013 年設立、2022 年 3 月に Nasdaq 上場の超伝導方式企業。 → レッスン 4
RSA
公開鍵暗号の代表。素因数分解の困難性に依存する。Shor アルゴリズムで破られる。RSA-2048 を破るには数百万 qubit の FTQC が必要と推定。 → レッスン 7
Shor アルゴリズム
Peter Shor が 1994 年に発表した、大きな整数の素因数分解を指数加速で解くアルゴリズム。RSA・ECC を破ることができ、暗号世界の 30 年の再設計を促した。 → レッスン 3、7
Shor code
1995 年に Peter Shor が発表した量子誤り訂正の最初の突破口。1 論理 qubit を 9 物理 qubit で冗長化。 → レッスン 5
Steane code
1996 年に Andrew Steane が発表した、7 qubit で 1 論理 qubit を冗長化する CSS 符号の代表例。 → レッスン 5
Surface code
Kitaev らが 1997 年に提唱した、2 次元格子上の量子誤り訂正符号。現在最も現実的な FTQC 候補。Google が 2023 年 2 月に Nature でエラー抑制を実験実証。 → レッスン 5
VQE (Variational Quantum Eigensolver)
Peruzzo らが 2014 年に発表した量子系のエネルギー最低状態を求めるアルゴリズム。量子化学と組合せ最適化の両方に応用。NISQ 時代の主力アルゴリズム。 → レッスン 6
墨子号(ぼくしごう)
中国科学技術大学 Pan Jian-Wei が主導した QKD 衛星。2016 年 8 月打ち上げ、2017 年に 1,200 km 級の QKD 実験に成功。 → レッスン 7
(かなえ)
理化学研究所が 2023 年 3 月 27 日にクラウド公開した国産初の 64 qubit 超伝導量子コンピュータ。日本の産学連携の象徴的な成果。 → レッスン 4
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